緊急事態宣言で「奇跡的に電車から人が消えた」。東京都の英語ツイートに批判相次ぎ削除

東京都の公式Twitterに批判が相次いでいる。緊急事態宣言で、満員電車から「奇跡的に人が消えた」という内容を投稿したところ「嘘だ」などと指摘されているのだ。

■「奇跡的に姿を消した」

このツイートは、東京都の英語アカウント「Tokyo Gov」が7月13日に投稿したもの。都が運営する情報発信サイト「TOKYO UPDATES」が5月14日に掲載した記事を紹介するもので、英語で「東京のラッシュ・アワーは世界的に有名ですが、COVID-19による緊急事態宣言下で奇跡的に姿を消した」と呟かれていた。すし詰めの満員電車と、2020年4月に撮影されたとするガランとした電車内の写真が並べられる、スライドショー形式の動画も添付されていた。

このツイートが投稿されると、批判が相次いだ。東京都内で撮ったとみられる駅や電車内の写真とともに、英語で「嘘だ」と指摘するものや、「そうだね、消えたね」と皮肉るコメントもあった。

日本語でも、「通勤時間帯は電車混んでいます」「普通に満員だ」といった指摘が寄せられた。

■ツイートは削除

批判が寄せられているツイートだが、リンク先の記事は違う内容となっている。冒頭は、「幻だったラッシュ解消を目の当たりにして、東京人は驚いた」などと緊急事態宣言で通勤時間帯の光景が様変わりしたとしているが、後段で「東京の人流は戻り始めている。緊急事態宣言の発令下でも、通勤電車は再び混みあっている」と指摘する。

そして、新型コロナをきっかけに、通勤や仕事のあり方が変わる可能性と、コロナ前に戻るケースを挙げ、「前進と後退を分ける分岐点、分水嶺はどこにあるのか――。残念ながら、その答えを筆者は持ち合わせていない」などと締めくくる内容だ。

「Tokyo Gov」のツイートは、この記事から「ラッシュが消えた」とする前半部分のみを取り出して紹介したため、「嘘をついている」と捉えられた可能性がある。

このツイートは13日夕方までに削除された。東京都政策調整課の担当者は「2020年4月の写真だと明記していたが、今、山手線がここまで空いているという印象を与えかねない投稿だった」と話している。削除の経緯についてもTwitterで説明するという。

■実際、人は減っていた?

ちなみに、都内の電車の混雑率は、実際どの程度変化しているのだろうか。 国土交通省鉄道局が「都市鉄道の混雑率調査結果」を公表している。

ここで公表されている混雑率とは、各車両の定員に対し、どれくらい乗客がいるかを指す。100%で「定員乗車」となり、座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる状態だ。

それによると令和2年度(2020年4月〜2021年3月末)の実績は、もっとも混み合う1時間の平均で、東京圏で107%。その前年度は163%だから確かに混雑度は減っている。

また、テレワークや時差出勤が呼びかけられる前の混雑度を100とした場合、記事で紹介されている2020年4月、つまり初めての緊急事態宣言が出された直後は、首都圏では30台まで大幅に下がっている

では直近はどうか。緊急事態宣言中にあたる2021年6月の実績では、2019年6月第1週の混み具合を100とした場合、▽東京駅(JR東日本)で49、▽日本橋駅(東京メトロ)で55、▽大手町駅(東京都交通局)で58となっている。コロナ前の半分かやや多いという具合だった。

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Source: ハフィントンポスト
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