トランスジェンダーのローレル・ハバード選手が、東京オリンピックに参加することが正式に決定した。
ニュージーランドオリンピック委員会(NZOC)は6月21日、ウエイトリフティング女子87キロ超級代表にローレル・ハバード選手が決定したことを発表。
トランスジェンダーを公表した選手が参加するのは、オリンピックの歴史で初めてとなる。
ハバード選手は声明で「これほど多くのニュージーランドの人たちが、私を温かくサポートしてくださったことに心から感謝し、そして恐縮しています」と、感謝を述べた。
ハバード選手は2018年にオーストラリアで開催されたコモンウェルス競技大会で腕を折り、選手生命の危機にさらされた。
声明の中で、「その時には、スポーツのキャリアを終わらせた方がいいと助言されました。しかしみなさんのサポートと励ましと愛があったおかげで、私は暗闇から抜け出すことができました」と、オリンピック代表に選ばれた喜びを述べた。
トランスジェンダー選手の参加資格について、国際オリンピック委員会(IOC)は2015年にガイドラインを改定した。
そしてテストステロン値が一定以下の状態が12カ月以上続けば、トランスジェンダー女性は女子種目に参加できるとした。
国際ウェイトリフティング連盟(IWF)もこのガイドラインに沿った規則を設けている。
トランスジェンダー選手の女子競技への参加をめぐっては「他の女性選手より優位な立場にある」と反対する声もある。
しかしニュージーランドオリンピック委員会CEOのケリン・スミス氏は、「ハバード選手は参加資格を満たしている」として、同選手を全面的にサポートする姿勢を示し、声明で次のように述べた。
「ローレルは、IOCのトランスジェンダーアスリートのガイドラインを元に定められた、IWFの参加資格を満たしています」
「私たちはスポーツの世界で、性自認がとてもセンシティブで複雑なものであり、人権と競技の場における公平さのバランスを取る必要があることを理解しています」
「ニュージーランドチームには、全ての人へのマナーキ(マオリ語で相手を敬い、大切にして温かく迎えること)とインクルージョン、そして尊敬の文化があります。私たちは資格を満たしたすべてのニュージーランドのアスリートたちを支え、彼らの精神的・身体的な健康を守り、トップアスリートたちのニーズを満たします」
BBCによると、ハバード選手は2013年に性自認が女性であることを公表。その後、IOCが求める基準に沿って、国際大会を含むいくつかの大会に女性選手として出場した。2017年には世界選手権で銀メダルを獲得している。
ハバード選手が出場する、ウエイトリフティング女子87キロ超級は、8月2日に東京国際フォーラムで開催される予定だ。
また、オリンピックで東京にやってくるトランスジェンダー選手はハバード選手だけではない。
自転車競技・BMXフリースタイル女子のアメリカ代表補欠には、トランスジェンダーのチェルシー・ウルフ選手が選ばれている。
Source: ハフィントンポスト
ローレル・ハバード選手、トランスジェンダー初の五輪出場へ。けが乗り越え「暗闇から抜け出した」