甚六「ふんふん~♪」
難物「おい、甚六。何やってるんだ?」
甚六「何って、洗車だけど」
難物「そんなのは見ればわかる」
難物「こんな時期になぜ勉強とは別のことをしてるのかを聞いているんだ」
甚六「それは……」
難物「お前が一番よくわかっているんじゃないのか」
甚六「で、でも、俺がやらなければ誰も車を洗わないじゃないか」
甚六「だからこうやって」
難物「お前は車の心配よりまず自分の心配をしろ!」
甚六「オヤジ……」
甚六「言ったろう。昨日は予備校に行ってたって」
難物「嘘をつくな」
甚六「う、嘘じゃないって。息子を信用しろよ」
難物「近くのデパートのカフェで漫画を読んでいたんだろ」
甚六「どうしてそれを!?」
難物「昨日、サザエさんが見かけたそうだ」
甚六「サザエさんが……うかつだった」
甚六「違うって。昨日はたまたま」
難物「とにかく、また次このようなことがあったら」
難物「この家から追い出すからな」
甚六「オヤジ、いくらなんでもそれはないだろ」
難物「どこの親が働きもせず遊びほうけてる奴なんかを」
難物「家に置き続けてくれるというんだ」
甚六「……」
難物「覚えておくように」
スタスタスタ
甚六「俺だってこれでもちゃんとやることやってるんだ」
浮江「兄貴、元気出して」
甚六「でも」
浮江「お父さん、きっと虫の居所が悪かったのよ」
甚六「……」
甚六「お袋、ちょっと出かけて来るよ」
軽「まあ、またどこか遊びに行くの?」
甚六「違うよ! 参考書買いに行くんだって!」
軽「本当でしょうね」
軽「どうせまた漫画か雑誌なんじゃないの」
甚六「そんな訳ないだろ。行ってきます!」
甚六「オヤジもおふくろも全然俺のこと信用してない」
甚六「本当やる気なくなるよ」
サザエ「あら、甚六さん」
甚六「あ、サザエさんこんにちは」
サザエ「こんにちは。これから、ドライブ?」
甚六「い、いえ。そこの書店まで本を買いに」
サザエ「あら、そうなの」
甚六「あ……今日は参考書を買うつもりです」
サザエ「まあ」
サザエ「甚六さんが?」
サザエ「ごめんなさい、この前甚六さんがカフェで漫画を読んでるところを見かけたものだから」
サザエ「私ったらてっきりぃ。参考書なんて感心ねー!」
サザエ「カツオも見習ってほしいわーw」
甚六「そ、そんなことないです。それじゃ、僕はそろそろ……」ギリ
サザエ「受験勉強、がんばってね。それじゃ」
甚六「ありがとうございます、それでは」
甚六「……」
甚六「チッ」
甚六(俺のことをオヤジに告げ口したくせによく平気で話しかけられるな)
甚六(近所のクソババアくせに)
甚六「ただいまー」
甚六「あれ? 玄関に知らない靴がある」
甚六「ああ、ノリスケさんがオヤジの原稿を取りに来てるのか」
甚六「どうでもいいな」
甚六「部屋に戻って大人しく勉強するか」
甚六「オヤジの部屋から話声が聞こえるな」
ノリスケ「伊佐坂先生ー、お願いしますよ」
ノリスケ「もう原稿ができあがっていなければいけない時間帯じゃないですかー」
難物「そう言われてもね」
難物「こっちにも色々事情ってものがあったんだ」
ノリスケ「またそんなことをおっしゃってぇ……」
ノリスケ「では、伺おうじゃないですか」
ノリスケ「執筆が遅れた言い訳を」
難物「息子だよ」
ノリスケ「甚六君のことですか?」
難物「ああ。君も知ってのとおりアイツはあの体たらくだ」
難物「身分を弁えもせず遊んでばかりいる」
難物「あいつの将来を考えているととてもじゃないが執筆に集中できないのだよ」
甚六「執筆が進まないのは自分のせいなのに」
甚六「それを俺のせいにして……!」
ガチャ!!
甚六「……」
難物「なんだ、甚六。帰ってたのか」
甚六「……」
ノリスケ「どうしたんだい、甚六君?」
甚六「イイイイ゛アア"あああああああああああぁ゛ぁ゛ぁっ!!」
難物「じ、甚六!?」
甚六「オヤジイイイイイイイイイイイ゛゛゛ィィィ!!」
難物「甚六、落ち着け」
難物「ノリスケ君もいらしてるんだぞ」
ノリスケ「あはは。まあまあ、先生も甚六君も冷静に」
甚六「るせえええっ!!」
ビュン
パリン!!
ノリスケ「ヒ、ヒエー!」
難物「こ、こら。花瓶なんか投げるなっ。とにかく落ち着きなさい……!」
Source: パリピにゅーす
サザエ「甚六さん、大暴れ」
ベネリック株式会社は11月5日…