夫「いいけど……こんな時間にどこ行くんだ?」
妻「ホストクラブ!」
夫「は?」
妻「行ってきまーす!」
バタンッ
夫「……」
夫(おいおい……。出かけるのはいいけど、いくらなんでもホストクラブって……)
妻「出かけてくるね」
夫「どこに行くんだよ」
妻「決まってるでしょ、ホストクラブ!」
夫「ちょっと待っ――」
妻「すぐ戻るから!」
バタンッ
夫「またかよ……」
同僚「ため息なんてついてどうした?」
夫「妻がホストクラブにハマってるっぽいんだ……」
同僚「え、ホスト!?」
夫「週に一回ぐらい通ってて……どうしたらいいか……」
同僚「そりゃもちろん止めるべきだろ。ホスト遊び繰り返してたら、下手すりゃ破産しちまうぞ」
夫「だよなぁ」
同僚「なんだったら一緒に行って、ホストに『二度と妻に近づくな!』ぐらいいってやった方がいい」
夫「そうだな……そうしてみるか!」
夫「またホストクラブか?」
妻「うん」
夫「俺もついてっていいか?」
妻「いいよー! 大歓迎!」
夫「え?」
妻「実はそういってくれるの待ってたんだ! 一緒に行こうよ!」
夫「う、うん」
夫(これは予想外の事態になったぞ……)
妻「もうすぐだよ」
妻「あ、あそこ!」
夫(きっとド派手な外見のビルなんだろうな……)
夫「ん?」
『ホストクラブ』
夫(暖簾に『ホストクラブ』とは書いてあるけど……)
夫「これ屋台じゃん!」
妻「また遊びに来ちゃった。今日は旦那も一緒」
おっさん「おう、よく来てくれたね」
夫「えええ!?」
おっさん「ん?」
夫「いや、あなた……どう見てもホストっていうか、屋台のおっさんにしか見えないんですが」
おっさん「なぁにいってる、俺はホストだよ」
夫「いや、ホストってもっとこう、スーツ着てて、髪を染めたりしてる若い男でしょ?」
おっさん「おいおい、兄ちゃん、辞書引いたことあるかい?」
おっさん「『客をもてなす主人』『クラブなどの接客係の男性』ってな」
おっさん「ここは一応クラブだし、俺は接客してる男だ。つまりホストでいいんだ」
夫「……拡大解釈にも程があるような」
妻「ま、いいじゃない。飲みましょ、ね?」
夫「う、うん」
夫「どうも……」グビッ
夫「うっす! これだいぶ薄めてるでしょ! ほとんど水じゃない!」
おっさん「分かってねえなぁ、この薄さがいいんじゃねえか」
妻「そそ、薄めてあるおかげで、ベロンベロンに酔わなくて済むしね」
夫「お前もだいぶこのおっさんに毒されてるな」
おっさん「これがエコってやつよ!」
夫「ずいぶんとまぁ、提供側に都合のいいエコだことで」
おっさん「――ってことがあってよ」
夫「いやー、おやっさんなかなか話上手いねえ」
妻「でしょ? だから私もついつい通っちゃって」
おっさん「おっとそろそろいい時間だ。帰った方がいい」
妻「えぇ~、もっとおじさんと話したい」
夫「ああ、日が変わるくらいまでいたいよ」
おっさん「深酒はやめときな。ホスト通いは名残り惜しいぐらいでちょうどいいのさ」
夫「分かったよ……で、料金は?」
おっさん「そうだな……夫婦で1000円でいいや!」
夫「え、結構食べたり飲んだのにそんな安いの!?」
おっさん「儲けるためにやってねえからな」
妻「どうだった?」
夫「うん、なかなか居心地よかった。いいホストクラブじゃないか」
妻「でしょ?」
夫「だけど一言いいたい」
妻「なに?」
夫「もっと早く俺も連れてってくれよ!」
妻「ごめんごめん」
夫「すみません……」
上司「こんなミス、今時の新卒社員だってしねえぞ!」
上司「お前がこの会社に入れたのは、よっぽど運がよかったんだろうな!」
夫「くっ……!」
夫(こういう日は……ホストクラブに行こう!)
夫「ありがとう……」
おっさん「ミスしない人間なんかいねえんだ! それをネチネチ責め立てる奴はろくなもんじゃねえ!」
夫「そうですよね……」
おっさん「それに運がいい? 上等じゃねえか」
おっさん「いくら仕事ができたって運が悪けりゃどうにもならねえんだからな」
おっさん「俺は運だけで会社に入ったって開き直りゃいいんだ!」
夫「おやっさんと話してると、みるみる気力が回復するよ」
妻「今日ホストクラブ行かない?」
夫「いいねえ、俺も行きたいと思ってたところだ」
妻「こんばんはー!」
夫「どうもー!」
おっさん「お、夫婦そろって来たかい。いらっしゃい」
ワイワイ…
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Source: みじかめっ!なんJ
夫「妻がホストクラブにハマってるっぽいんだ……」