LGBTQ+の人々が最も悩んでいるのは、「差別や偏見に関すること」だと、P&Gジャパンの調査で明らかになった。
一方、非当事者の人々が想像している困りごとのトップは「(トイレなど)男女別の場所の使用」で、「差別」などは4位。当事者と非当事者の間で、認識に大きなギャップがあることが明らかになった。
同社ではこれまでの取り組みや今回の調査を元に、職場でLGBTQの「アライ(理解者・支援者)」の輪を広げる「アライ育成研修」を開発。今後、社外の組織に対しても無償で提供していくと発表した。
今回の調査では、まず当事者が社会にどの程度いるのかについて調べている。
調査への回答者5000人のおよそ9.7%が、自分が「LGBTQ+」だと自覚していると答えた。これは各種の調査と同水準だった。
そして、自覚していると答えた人のうち44.9%が「自分らしく生きられない」と感じており、有職者の回答で最も苦労を感じるのは「職場」という結果だった。
また、職場に「アライがいる」と回答したのはわずか3.6%で、職場に「アライ」を増やしていくことの重要性が導き出された。
P&Gジャパンの執行役員で広報渉外本部シニアディレクターの住友聡子さんは「職場がLGBTQ+フレンドリーというのはまだまだ遠い話」と現状について指摘した。
しかし、次に課題になるのは「アライ」として、実際にどう行動したらいいかわからない非当事者が多いことだった。
「アライ」という言葉の認知率は7.7%と低いものの、考え方に共感するという答えは53.8%と半数以上となっている。
一方で全体のおよそ8割、共感すると答えた人の中でも69.1%は「『アライ』として特に具体的な行動はしていない」と回答。
行動しない理由として、共感する層でも43.8%が「身近にいない」、40.3%が「自分に何ができるかわからない」と答えている。
この調査を始めとした日本の各種の統計で、およそ10人に1人はLGBTQ+であることが明らかになりつつある。そのため、「身近にいない」と回答した人も、まだ見えていない、あるいは気づいていないだけという可能性が高い。
同社では、こうした知識不足が「アライ」としての実際の行動につながっていない原因である可能性が高いと分析した。
P&Gジャパンが今後提供する予定の「アライ育成研修」では、知識の伝達と共にケーススタディも行われる。
ケーススタディでは「もしも職場や飲み会でこんな会話があったら、どう止めるべきか」などの実例をもとに、アライとして何ができるか考え、行動について事前に想定してもらう内容も含まれている。
同社の「アライ育成研修は」5月末からウエルシア薬局や神戸市役所に提供されることが決まっており、他でも順次実施する予定だという。
LGBTQ+だけでなく「マイノリティ要素」は誰にでもあるという考え方から、同社ではこの研修が他者への共感・想像力を養う効果があると考えているという。
記者会見でP&Gジャパンのスタニスラブ・ベセラ社長は「誰もがユニークで個性があるにもかかわらず、職場で疎外感を感じていたり本当の自分が出せないと感じている人がいます。誰もが最高の自分でいられる職場を作るために我々は行動を起こさねばなりません。皆さんと共に学んで一つのムーブメントとして進めていきたい」と話した。
Source: ハフィントンポスト
LGBTQの人々の最大の悩みは「差別や偏見」 非当事者の「想像」とのギャップが明らかに