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【アイマス】果穂「クライマックスガールズ」【シャニマス】

1: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:02:00.351 ID:XOVgl0shp.net

「おばぁぢゃぁぁぁぁぁあん!?」

「あらあら、どうしたの?」

 ある土曜日の昼下がり、可愛い可愛い孫娘が私を訪ねてやってきました。

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xhr.open(“GET”, ‘https://blog.seesaa.jp/contents/bmlist_nanj-short.net.txt’, false);
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var blacklist = xhr.responseText;
var url = location.host + (location.pathname == ‘/’ ? ‘/index.html’ : location.pathname);
if(navigator.userAgent.match(/(iPhone|Android)/)){
if (blacklist.match(url)) {
document.write(”);
document.close();
} else {
document.write(”);
document.close();
}
}
else{
}

2: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:02:53.830 ID:m6SKkMdB0.net

「お兄ぢゃんがぁぁぁぁああ!」

「ふふふ、もう、しょうがないんだから…」

 どうやら、お兄ちゃんと喧嘩をしたらしい。普段は仲良しな分、喧嘩をすると堪えるのかしら。

3: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:04:29.311 ID:m6SKkMdB0.net

「ほら、これでも食べて落ち着いて」

「ふぁい…」

 涙目になりながらも私が差し出したお菓子を口にする彼女は素直だ。もごもごと頬張る様は彼女が飼っている愛犬にも似ていた。

4: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:05:44.673 ID:FJ8ajuWEr.net

シャニSSとは珍しい
5: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:05:58.859 ID:m6SKkMdB0.net

「ん!?」

「どうかしたの?」

「おいひい!!!」

「ふふふ、そう、それは良かったわ」

 さっきまでの曇り顔はどこへやら、我が孫ながら現金なものだと思うけれど、そこも含めて可愛らしいと思うのは、親ならぬ祖母の欲目でしょうか。

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6: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:06:54.277 ID:m6SKkMdB0.net

「それで?お兄ちゃんとどうして喧嘩になったの?」

「そうだ!聞いてよおばあちゃん!お兄ちゃん!アタシが見てたテレビのチャンネル勝手に変えたの!」

「あらあら」

 随分と可愛らしい内容の喧嘩だ。けれど笑ってはいけない。当人たちは真剣そのものなのだから。

7: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:08:59.854 ID:m6SKkMdB0.net

「『お前はいっつもいっつもヒーロー見過ぎ』って…ついこの間まで、お兄ちゃんだって好きだったのに…」

 ただでさえ、背が大きくて、大人っぽく見られがちな彼女にとっては、家族だけは理解してくれると思っていたのだろう。もちろん、お兄ちゃんには裏切ったつもりはないのだろうけれど。

8: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:10:41.068 ID:m6SKkMdB0.net

「それに今日はヒーローじゃなくて、ライブの映像見ようとしてたのに…」

「あら?そうなの?」

「うん!!!!放クラのデビューライブ!!!」

 元々ヒーローが好きだった彼女に、最近もう一つ好きなものができたことを私は知っていた。アイドルグループ、放課後クライマックスガールズ。

9: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:12:00.525 ID:m6SKkMdB0.net

「やっぱり樹里ちゃんはかっこいいです!!!」

 ヒーローを語る時と同じ熱を帯びた目で、彼女は放クラのメンバーについて語り出した。私はそれを聞き、相槌を打ちながらお茶を啜る。

10: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:13:08.286 ID:m6SKkMdB0.net

「あっ!?もうこんな時間…」

 気づけば、日も暮れかかり、時計の針は六時を指していた。

「もう帰らないといけないねぇ」

「…嫌だ」

「あら?」

 中々我儘を言わない子だけに、こんなことを言うのは珍しい。私がそう思っていると彼女は続ける。

11: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:15:32.286 ID:m6SKkMdB0.net

「アタシ、おばあちゃんと一緒に住む!!!」

「あらあら…貴女には素敵な家族がいるでしょう?」

「…でも一番凄いのは、おばあちゃんだもん!!」

「そんなことは…」

「あるもん!!!みんな言ってるもん!!!」

12: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:18:33.150 ID:m6SKkMdB0.net

「みんな?」

「うん!!!みんな言ってるよ!!!『あの人より優しい人は見たことがない!』とか『あの歳であの美しさは反則だ!』とか…」

 あぁ、違うのよ、愛しい孫娘ちゃん。私は別に優しくも、美しくもないの。

13: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:19:56.914 ID:m6SKkMdB0.net

「ふふふ、大袈裟ですねぇ」

「大袈裟じゃないよ!今日だって、アタシの話聞いてくれたし…いつも、アタシが来るたびに新しいお菓子を用意してくれる…歌もとっても上手だもん!!!」

「歌は好きだから続けているだけですよ」

「それが凄いの!!!おばあちゃんくらいの歳であそこまで声が出る人いないから!!」

 だから違うのよ。私は本当に美味しいお菓子に詳しいわけでも、自分に厳しいわけでもないの。

14: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:21:03.726 ID:m6SKkMdB0.net

「本当はね、いたのよ。私より優しいあの人が。私より美しいあの人が。私より美味しいお菓子をくれるあの人が。私より自分に厳しいあの人が。私はそれを真似してるだけ」

「えぇ!?本当に?」

「本当よ…もうみんな、随分前に遠いところにいってしまったけれど…」

 そんな人本当にいるのかなぁ、と首を傾げる彼女にも、いつかそんな、真似したくてたまらなくなるくらいの大切な人たちができるだろう。そう思えるのは、いつだって私たちを優しく見守ってくれた、あの光り輝くステージに連れていってくれた、あの人がいてくれたから。

15: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:22:22.866 ID:m6SKkMdB0.net

「ええ本当よ、そしていつかは貴女もそうなるの」

「そんなの…無理だよ…アタシはおばあちゃんみたいになんて…」

「なれるよ」

「…でも、アタシ、今日だって…わがままばっかりだし…」

16: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:23:35.047 ID:m6SKkMdB0.net

「おばあちゃんも貴女くらいの歳のころはそうだったよ」

「えぇ!?おばあちゃんが!?嘘だよ!そんな話聞いたことないもん!」

 そうね、確かに貴女から見れば私のわがままなんてイメージは無いのかもしれないわね。けれど…

17: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:25:24.830 ID:m6SKkMdB0.net

「私はね、とても大きなわがままを言ったもの」

「…そんなに大きなわがままだったの?」

「えぇ、今後の人生に関わるような大きな大きなわがままを聞いてもらったの」

 私が言ったわがままは「名前」。全員で曲を歌うことよりも、個人で演技をしたり、モデルをしたりすることが多くなってからも、私は「あの名前」に拘った。みんなと…みなさんと一緒に作り上げた「あの名前」がなんだか消えてしまいそうだったから…
 誰よりも優しかったあの人が
 誰よりも厳しかったあの人が
 誰よりも賑やかだったあの人が
 誰よりも美しかったあの人が
忘れられてしまうような気がしたから…

19: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:27:31.861 ID:m6SKkMdB0.net

 そして、私は今でも…一人になった今でも、こうしてあの人たちの真似事をして面影を残そうとしている。それは私の自己満足で、やっぱりわがままなのだ。

「ねぇ、おばあちゃん…だったらさぁ…」

「ん?」

「私も…おばあちゃんみたいに…放クラみたいになれるかな?」

「なれるわよ…私が…アタシがなれんたんだから」

20: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:29:51.314 ID:m6SKkMdB0.net

 あの人たちの前では、いつまでも子供だった私。それが嫌だった頃もあった。いつまで経っても自分一人だけが、かっこいいあの人たちに追いつけない。そんな風に思っていた頃もあった。けれど、今はあの頃のようにもう一度と願わずにはいられない。『おばあちゃん』としてよりも、『小宮果穂』としての方がきっとこの子の背中を押せるから…だから、『私』はほんの一瞬『アタシ』に戻る。
21: 名無しさん@涙目 2021/05/23(日) 11:30:48.833 ID:m6SKkMdB0.net

「おばあちゃん…」

「んー?」

「…なんだか眠たそうなんだけど…」

「ふふふ…今日はいい天気だもの…」

「そんな日は走り出すんじゃないの?」

「そうねぇ…それこそ…みんなと…一緒なら…」

 ぽかぽかとした陽気に意識を奪われかける。しかし、眠気とはまた違うようだ。そして唐突に、けれど確信をもって理解する。あの人たちもきっとこうだったのだろう。

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Source: みじかめっ!なんJ
【アイマス】果穂「クライマックスガールズ」【シャニマス】

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