4K動画が撮影できるカメラを搭載し、最高時速140kmで飛行できるドローンがDJI「FPV」です。今回はその実機をDJIから借りて“開封の儀”とテストフライトを行なってきたので、その様子をレポートします。
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ドローン本体とゴーグル、プロポ(コントローラー)が入ったDJI「FPV COMBO」のボックスは以下の通り。
箱を開けるとすぐにドローン本体が登場。一気にクライマックスに持っていかれるタイプの開封体験でございました。そして、半透明のトップカバーから透けて見えるパーツが実にSF的でかっこいいのです。
箱の下段にはプロポや予備パーツが入った小箱が入っています。
DJI「FPV」ドローンを取り出してみたところ。「Mavic」シリーズのような平たいデザインではなく、どこかエイリアンを思わせる丸みを帯びたフォルムです。
カメラは4K/60fpsやフルHD/120fpsで動画撮影が可能で、上下にチルトする1軸ジンバルに取り付けられています。
蛍光グリーンのカバーも同梱されていました。他の人からの視認性が高いほうが容易場合はこのカバーを使用すると良さそうです。
ボディ下部にあるセンサー。このおかげで、DJI「FPV」安定した自動ホバリングが可能です。既に空撮用ドローンでは一般的になった機能ですが、レース用ドローンやFPVドローンにはほぼ(まったく?)搭載されていないので、これがついているのは初・中級者にとっては大きな魅力です。
本体前方、カメラの下にmicro SD カードスロットとUSB-Cポートを備えています。DJIの空撮ドローンの
ようにボディ内に映像や画像を記録するストレージを備えていない点は要注意。カードを忘れると撮影できません。
プロペラ(ローター)はボックスに書かれた文字(写真ではA)と、本体に貼られたシールの文字が合うように取り付けます。
プロペラはねじ込むだけで装着完了。組み立てに工具は不要です。
バッテリーはFPV用ドローンとしては破格の容量となる2000mAhで、メーカー公称では最長約20分の飛行が可能です。今回の私のテストでも15分は飛ばせました。
まるでゲームのコントローラーのようなプロポ。
トリガーのように操作するボタン類も豊富。特に注目すべきは写真左の「STOP/START」と書かれたボタンで、これを押すと自動でドローンが空中で停止(ホバリング)します。FPV飛行時などに方向感覚を失った場合にこのボタンを押せばドローンが自動で姿勢制御しながら待機してくれるので、落ち着いて状況を確認した後にマニュアル飛行に戻れるというわけです。
こちらはDJI「FPV Goggles V2」。
バッテリーは本体とは別にあり有線で接続して使います。ポケットに入れておけば、ゴーグルの重量が増えて頭に重さを感じることがない賢い設計です。なお、ゴーグルの公称重量は約420gです。
ゴーグルの内側にはパッドがあり、つけ心地は快適です。鼻が低めの日本人的な顔の私だと、鼻の上に少し隙間ができますが光が漏れてきてディスプレイが見にくくなるようなことはありませんでした。
ゴーグルの解像度はフルHDで、低遅延モードにした場合のレイテンシーは28ms以下とのこと。体感としてはほぼリアルタイムです。
ゴーグルのバンドはベルクロテープで長さが調整でき、頭にしっかりフィットさせられます。
実際にDJI「FPV Goggles V2」を装着した様子は以下の通り。完全にSF映画の登場人物のような見た目です。
FPVドローンはドローンから電波で映像伝送を行なうことと、ゴーグルをつけて目視外で飛行を行うことから、それぞれ電波法と航空法の規制の対象になる場合があります。
» アマチュア無線によるFPVドローンの体験利用について|総務省 電波利用ホームページ|
» 航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール|国土交通省
今回は技適を取得した機器を使用し、航空法の規制対象外となる屋内のみで飛行を行いました。
今回の撮影は福島県にあるルネサンス棚倉様の協力を得て行いました。スポーツリゾートとして作られた広大な私有地の中ではインドア/アウトドアでドローン飛行や電動モビリティの走行ができるスペースが用意されています。ドローン、電動モビリティとも貸し出しと、持ち込みでの利用が可能で、企業や研究機関の実験などへの場所提供、宿泊提供も行なっています。詳細は下記公式ホームページよりお問い合わせください。
» » » ルネサンス棚倉へのお問い合わせはこちら
今回はインドア・フライトゾーンでテスト飛行を行いました。
筆者は空撮用ドローンは5年以上に渡る飛行経験がありますが、FPVを飛ばすのは初めてです。そこで、今回は「Nモード(アシストあり)」での飛行を行いました
いざ、離陸!
実際に飛ばしてみると、ドローンの俊敏さに驚きます。アシスト付きでより挙動が安定している「Nモード」ですら、プロポのスティックを倒すと機体がクイックイッと素早く反応します。より穏やかな反応の空撮用ドローンのユーザーだと最初はちがいに戸惑うかもしれませんが、慣れてくると「意のままに操れる」感じがわかり、とても気持ちよく飛ばせます。
ドローン飛行経験ありのFPVビギナーの場合は、目視で離陸させた後、ホバリング状態にして素早くゴーグルをつけてFPVに移行するとスムーズだと感じました。ゴーグルをつけて目視外で離陸させようとすると、離陸時のドローン姿勢がつかいみにくいのです。
FPVモードの操作は思っていた以上に難しく、まず「飛んでいる」という感覚にとまどいます。ドローンの目線になので、最初は「飛んでるじゃん、高いじゃん、けっこう怖いかも…(汗)」という感じ。慣れてくれば鳥のような気分が楽しめるのだと思いますが、今回はそこまで到達する時間はなく「FPVの洗礼」受け、ひたすらビビっていたというのが正直なところです(笑)
DJI「FPV」は、飛行アシストをオンにして目視で飛ばす分にはそれほど難しくありません。特に、他のドローンを飛ばしたことがある人にとっては「動きが機敏なドローン」になるだけで、それ以上に難しいことはないでしょう。機体が小さい分、横風の影響などは受けやすくなりますし、センサーが前方と下方にしか無く左右や後方の障害物は検知・回避してくれないといった点は注意が必要ですが、それを除けば安定した飛行ができるドローンです。
ところがFPVモードになると、これは別世界。これは、筆者の技量がつたないことによるものでもありますが、未経験者は買ってすぐFPVで爆速飛行ができるということは無いと思った方が良いでしょう。特にM(マニュアルモード)での飛行はさらに難易度が高いため、安全に飛行が楽しめるレベルに到達するには一定の練習期間が必要です。
なお、幸いにもアプリとゴーグルを接続して使う訓練シュミレーターも容易されているので、ドローンを落とす心配をすることなく一定のレベルまで訓練をすることは可能です。
というわけで、今回のテスト飛行ではDJI「FPV」ドローンは入り口のハードルは低く、けれどもその奥にとてつもなく深いFPV飛行とマニュアル飛行の世界が広がっているという、攻略しがいのある機体であるということがわかりました。ガッツリと腕を磨いて、意のままにドローンを操り一体となって空を飛ぶにはこれ以上ないドローンです。
一方でサクッとかんたんに空撮だけができれば良いという人にとっては完全にオーバースペックな機体でもあるので、うまく自分のニーズを見極めた上でチョイスすると良いでしょう。
記事作成時点における「DJI FPVコンボ」の公式ストアでの価格は154,000円(税込・送料無料)となっており、購入が可能な状態です。
今後、機会があれば目視外飛行の申請をした上での屋外飛行や動画の撮影などにも挑戦してみたいと思います。
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Source: AppBank
DJI FPV:開封&インプレ! 飛ばすだけならカンタン、マニュアル飛行は激ムズで攻略しがいのあるドローン