マス広告やネット広告の企画といったいわゆるマーケティングを手がけてきた佐藤尚之 氏の「ファンベース」を読んだ。少し前(2018年12月)の書籍だが、新型コロナウイルス感染拡大を切っ掛けに、商圏や領域を絞り込んだいわゆる“深掘り型”のアプローチが重要になってきていると感じたからだ。
「ファンベース」 で主張されているのは、大きく二つ。
1. およそ全顧客の20%と考えられるファンが売り上げの大半を支え、新たな顧客を連れてきてくれる
2. “マス”(大衆)に対して大量消費を単発的に促し続ける時代は終わり、ファンのLTV(生涯価値)作りが重要になる
そのためにファンミーティングやファン認定を行うことを始め、その前提でこれまでの施策(広告・店頭・サポートを含む)を織り交ぜて小さな熱狂を組み立てていくという話。
沢山のケーススタディや統計データの引用があるが、施策自体は昔からあるものなので、本書で重要なのは“その発想”といえる。つまり、誰もがすぐに始められるということになる。興味深いのが、いわゆる古くからの商業の世界でいわれている精神論みたいなものに着地している点。「誠実にしたたかに、手間暇を掛けてお客様一人一人を愛する」。リテールの現場にたたれている人にとっては「なんだ・・毎日やってるよ」という感じだが、マスの神通力が通用しなくなりつつある現在、結局のところ商売の原点に戻ったということなのかもしれない。
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・「ファンベース」 佐藤尚之・著
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書評「ファンベース」 佐藤尚之・著