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世界各地で、戦争が現在進行形で起きている。
武力衝突による被害は、民間人やインフラにも及び、武力紛争において「やってはいけないこと」を定めている国際人道法が守られないケースも頻発している。
そうした中、 市街地での戦闘が人々の暮らしに与える影響を伝える企画展「War in Cities~戦争の街を体感する〜」が12月18日、横浜市のみなとみらいギャラリーAで始まった。
赤十字国際委員会(ICRC)、日本赤十字社 、在日スイス大使館が共催する本イベントは、2017年から世界各地を巡回し、日本は4カ国目となる。
開幕に先立ち、ハフポスト日本版はメディア内覧会へ足を運び、企画展に寄せた思いを聞いた。
大きな悲しみの中にある、人間の強さ
巡回展には、激しい戦闘が行われたイラクで、所有者や地元コミュニティの許可を得て収集したものが展示されている。
ICRC駐日代表の榛澤さんは、展示品の数々は「圧倒的な暴力の代償を支払わされている民間人」の証人だと説明した。
「ここにあるのは、どれも私たちが暮らしで見かけるような身近なものばかりです。例えば、この赤いテディベアのぬいぐるみは、イラクにある工場付近の有刺鉄線に絡まっていたものです。どうしてそんなところにあるのか、なぜそこに置いていかなくてはいけなかったのか。思いを馳せて、想像してみてほしいです」と、巡回展に寄せた思いを語る。
さらに「このお話をするか少し迷ったのですが」と前置きをした上で、こう打ち明けた。
「戦争の話をするときに笑顔を浮かべたことで、一度お叱りをいただいたことがあります。ただ、私は現場に行くたびに、大きな悲しみや苦しみの中で、それでも希望を持ってユーモアを忘れず、前を向いて生きていこうとする人間の強さに驚かされています。そうした人々の温かさを思い出し、笑みが溢れてしまうことがあるのです」
また、AR体験型展示の「エンター・ザ・ルーム」では、ICRCが開発したアプリを通じて、戦闘が激化する市街地で暮らす子どもの目線で戦争を疑似体験できる。
本イベントに託された大きなメッセージの1つが、「戦争にもルールがあると知ってほしい」ということだ。
「国際人道法」を代表するジュネーヴ条約が採択されてから75年。今なお医療施設などへの攻撃が続き、人道支援へのアクセスも阻害され、支援に携わる人たちが命を落としている。
内覧会では「国際人道法のルールを誠実に順守すれば、多くの命を救うことができます。私たちは世界のいたるところで紛争が続く現実に慣れきってしまい、無意識にルール違反を容認していないでしょうか。条約を理解し守ることで、救える命があると知ってほしいです」と訴えかけた。
東京大学・渡邉英徳研究室の企画展では、ウクライナやガザなどの紛争地の3Dデータマップや、原爆による被爆者の証言をまとめた作品を展示。紛争地域の病院や保育施設、攻撃された赤十字の車両の様子をアーカイブで見ることができる。広島県や長崎県の被爆者の分布を閲覧し、アーカイブ映像やテキストを通じて被害状況を知ることもできる。
八王子平和・原爆資料館の展示コーナーでは、原爆の熱で表面が泡だった瓦や、焼けただれた数枚の皿、 手りゅう弾として使われる予定だった陶器などに加え、14歳で被爆し亡くなった豊嶋長生さんの学生服も目にすることができる。
国際人道法を知って、広めて、浸透させる
日本赤十字社の展示コーナーでは、「日本にいる私たちにできること」を考える企画を実施。日本赤十字社が制作した「学びの一歩」を踏み出せるような資料を手に取ったり、国際人道法や紛争に関するハフポスト日本版とのタイアップ動画を視聴したりできる。
宮本さんは「国際人道法を知り、支持し、広めていくことが、『戦争のルールを絶対に守らなければならない』という規範を浸透させることになります」と強調。知ることも支援のひとつの形だと伝えた。
日本赤十字社が12月1日から25日まで展開している募金キャンペーン「NHK海外たすけあい」に関する展示もある。宮本さんは「一人では向き合えない人道危機が世界各地で今も起きています。そんな時、誰かが自分のことを気にかけていると知ることは、大きな力になります」とコメントしている。
企画展の概要は以下の通り。
【War in Cities~戦争の街を体感する〜】
期間:2024年12月18日~25日 11:00 – 19:00 (予定)
共催:赤十字国際委員会(ICRC) 、日本赤十字社 、在日スイス大使館
協力:東京大学大学院 渡邉英徳研究室、八王子 平和・原爆資料館
後援:神奈川県
入場料:無料(事前申し込み不要)
会場: みなとみらいギャラリーA
場所:横浜市西区みなとみらい 2丁目3番5号クイーンズ スクエア横浜クイーンモール2階
※期間と時間は変更になる可能性があります。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「戦争にもルールがあると知って」。戦闘下の街を体感する巡回展はじまる。