やさしいSNS「GRAVITY」(グラビティ)を運営するHiClubはこのほど、東京都内で「より生きやすいSNS」をテーマにしたイベントを開催した。
同社の上野絢大さん、LGBTQ当事者を支援する認定NPO法人ReBitの代表理事・藥師実芳さん、孤独を感じる人の相談にのるNPO法人あなたのいばしょの理事長・根岸督和さんが、同社が10月に実施した、SNSに関する調査結果をもとに「SNSの孤独とトラブル」について議論した。
調査は10〜50代を対象に実施し、2527人から回答を得た。全世代で、半数前後が「既存のSNSに疲れを感じる」と回答した。
「SNSは、プライベートだけでなく仕事でも利用するため、疲れても離れづらい」という意見に対し、藥師さんは「本当にその通りだなと思いました」と同意。一方で「私たちはSNSを活用したLGBTQのオンライン相談をやっておりますが、SNSがあるからつながれる、相談できるということが本当に多々あるなと思っています」とも話した。
SNSの利用に関して、「不安を感じている」と答えたのは72%。SNS上でのトラブルについて、全世代で2〜3割前後が「誹謗中傷」をあげた。
根岸さんは、特に多い相談内容として「ネット上で知り合った方に個人情報を送ってしまった」、「他人を誹謗中傷してしまった、それを後悔している」といった事例を挙げた。その上で、「SNS時代でカッとなった気持ちでアクションしてしまったのだと思われますが、後から時間が経つにつれて非常に後悔している、といった相談が寄せられています」と報告した。
藥師さんは、SNS上では特にトランスジェンダーに対する差別的な言説が目立つと指摘。10代のLGBTQ当事者の85%が「1年以内にSNSなどでLGBTQについての差別的な発言を見聞きした」と回答した調査結果(2023年)、48.1%が1年間で「自殺を考えたことがある」、自殺未遂をしたという人が14.0%という実情を踏まえ、「SNSでのたくさんの暴力や差別というものが誰かの命に直結しうるということを捉えていく必要があると思います」と話した。
「SNSとはどういう場所であるべきなのか」についても議論。
内閣府の「人々のつながりに関する基礎調査」(2024年)の「年齢階級別の『孤独感』」のグラフを見ると、スコアが「10~12点(常にある)」の人の割合は、20〜50代で高くなっている。こういった「孤独感」に対して、SNSを活用してどのようにアプローチするべきかがこれからの課題の一つだ。
藥師さんは「LGBTQは孤独・孤立を感じることが非常に多い傾向にあります。SNSで暴力・差別がある一方で、肯定的な情報や仲間に出会えているといった現状もある。SNSは繋がりのツールの一つでもあり、両面性があるのかなと思っております」と指摘。
根岸さんは「社会構造的に『孤独』を悪とするのはもう無理だと思っており、私自身も明日『孤独』になるかもしれない状況が、今の世の中を取り巻く環境であります。そういった時に、誰かと繋がれる実感を持つ事が重要だと思っております」と話した。
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「生きやすいSNS」とは?LGBTQ団体は繋がれる長所と「暴力や差別が誰かの命に直結しうること」を指摘