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冬が訪れたパレスチナ・ガザ地区で、飢餓が人々をさらに苦しめている。国連は10月、ガザで180万人以上のパレスチナ人が「非常に深刻な飢餓状態に直面している」と発表した。
5度の避難を強いられた末に、ガザ中部にあるテントで夫と4人の幼い子どもと暮らすヤスミン・エイドさんは11月、「娘たちは空腹のあまり親指をしゃぶり、眠るまで私が背中をさすらなければなりません」とAP通信に語った。
エイドさん家族のその日の食事は、小枝や紙を燃料にして小さな鍋で煮たレンズ豆だけだった。一家は何カ月も夕食をとることができず、空腹のまま眠りについているという。
ガザでは、パンなど生きていくのに欠かせない食料がますます手に入りにくくなっている。
世界食糧計画(WFP)は11月27日、深刻な物資不足のためにガザ中部のすべてのパン屋が閉鎖されたと伝えた。
「パンは数多くの家族にとって命綱で、多くの場合、唯一手に入る食料です。しかし今やそのパンですら手の届かないものになりつつあります」
All bakeries in central #Gaza have shut down due to severe supply shortages.
Bread is a lifeline for many families — often the only food they can access. Now, even that is slipping out of reach. WFP continues its call for safe & secure access of vital humanitarian aid into Gaza. pic.twitter.com/VNyIZafv2v
— World Food Programme (@WFP) November 27, 2024
国連の食糧農業機関(FAO)のベス・ベクドル事務局次長も12月2日、エジプト・カイロで開かれたガザの人道支援強化のための会議で「現在、ガザ地区全体で入手可能な食料は過去最低になっており、食料供給が急激に悪化している」と訴えた。
「支援すべきはまさに今、この瞬間であり明日ではありません。食料、医薬品、燃料を優先すべきなのは明らかですが、人々が確実に生存できるようにするために、地元の必要な場所で食料を生産する能力の構築を優先する必要もあります」
FAOによると、ガザでは2023年10月7日の紛争勃発以前は野菜や卵、牛乳、鶏肉、魚などは自給自足で賄えており、赤身肉やオリーブ油、果物の多くも生産していた。
しかし紛争から1年以上が経過した現在、ガザ全域で農業・食料システムが崩壊し、壊滅的な状況に陥っているという。
FAOと国連衛星センター(UNOSAT)の分析によると、農地の約70%がダメージを被り、果樹園や温室、井戸などの農業インフラが被害を受けたほか、95%以上の牛や、半数を超える羊や山羊が死んだ。
農業・食料システムが破壊された結果、ガザの市場からは肉が消え、わずかに残っている地元産の野菜も、定期的な収入がない貧困層には入手できないほど値段が高騰しているという。
【画像は伝える】食料が枯渇し、飢餓の危機に直面しているパレスチナの子どもや大人たち
ヤスミンさんの夫ハニさんは、「私たちが経験している苦しみのことを話すのは難しい。恥ずかしさを感じます」とAP通信に語っている。
「何をお話しすればいいのでしょう?家族が21人いるのに、彼らに小麦粉1袋すら与えられないのです」
FAOのベクドル事務局次長は「食料を得る権利の保障は、単に差し迫ったニーズを満たすだけでなく、人間の尊厳を守り、飢饉の拡大を防ぎ、回復力のある農業・食料システムを再構築するための地盤作りです」と12月2日の会議で述べた。
国連の10月の報告によると、ガザの人口の6%に当たる約13万3千人が、最も深刻な「壊滅的飢餓(IPCフェーズ5)」に置かれている。その数は11月〜4月の冬季にかけて、全人口の16%に当たる約34万5000人に達する可能性があるという。
FAOは、特に弱い立場にある子どもたちの飢餓や栄養失調を防ぐためにも、食料供給や農業インフラ構築の支援が急務だと訴えている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
1日1食「空腹のあまり子は指をしゃぶっている」ガザで深刻な飢餓。命綱のパンも手に入らない状況に