「オリンピック休戦」はあっさり覆された。パリ五輪開幕後、ガザの学校に攻撃。30人死亡、100人以上負傷

開会式でライトアップされたエッフェル塔=26日、パリ

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ウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃が続く中で開幕した、「平和の祭典」と呼ばれるオリンピック。

2023年11月には国連総会で、「スポーツとオリンピックの理想を通じて平和でよりよい世界を築く」と題して、開幕7日前から閉幕7日後まですべての戦いを停止するよう呼びかける「オリンピック休戦」が採択されていた。

「オリンピック休戦」の伝統は、紀元前9世紀の古代ギリシャのオリンピックで「各地域の王たちが協定に署名して、住民や選手、芸術家がオリンピック開催地に安全に旅行できるようにした」ことに由来するという。

しかし、この「オリンピック休戦」の原則はあっさりと覆された。パリ五輪で本格的に競技が始まった7月27日、イスラエル軍はガザ地区中部にある学校を攻撃。30人が死亡、100人以上が負傷した

ガザ地区中央部のデイル・アル・バラにある避難民を収容するハディジャ学校に対し、イスラエルの空爆が行われた

イスラエル軍は「ハマスの戦闘員が潜んでいた拠点への攻撃」などと主張している一方、BBCは「ガザ保健省は、映像から犠牲者は民間人で、そのほとんどが子どもであることが明らかになったと述べた」と報道した。同メディアは負傷者の中に子どもがいる映像を確認したという。

パレスチナオリンピック委員会(POC)は7月22日の時点で、イスラエルが「オリンピック休戦」の決議に違反しているとしてパリ五輪への出場を認めないよう国際オリンピック委員会(IOC)に要請したが、IOCは取り合わなかった。

パレスチナのアスリートや審判員300人超が死亡

パリ五輪の開会式には、パレスチナ選手団の姿も見えた。陸上、ボクシング、競泳などに8人の選手が出場する予定で、このうち3人がガザ地区出身だという。

選手らは歓声に笑顔で応えたが、背後には重い現実がのしかかる。POCは6月、イスラエルとハマスの戦闘が始まった2023年10月以降、300人を超えるアスリートや審判などの関係者らが死亡したことを明らかにしていた

選手団らとともにパリ現地に降り立ったPOCのジブリール・ラジューブ会長は、「イスラエル選手団のパリ五輪出場を認めたことは、IOCのダブルスタンダード(二重基準)だ」と批判した。

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