東京・下北沢といえば、多くの若者が集いカルチャーを次々と生み出しつつも、都会の喧騒とは離れた、どこかゆったりとした空気感のある街だ。
そんな下北沢で今、デザインオフィス「あおとき」がWeb3.0を通して、新たなまちづくりの形を模索しているという。
「あおとき」はこれまで、下北沢のトレンド情報を発信しているInstagramを中心としたまちづくり事業を展開し、下北沢で定期的にリアルイベントを開催するなど、人と人の繋がりによって独自のローカルコミュニティを築き上げ、Web2.0とデザインとのシナジーを実証してきた。
そうしたなかで、これからの時代の展望を見据えた際にキーワードとなるのがWeb3.0(参加者全員が分散して、データを保持・保管しているインターネット空間)だ。そこで「新しい技術と下北沢のコミュニティによって何か化学反応が起こせないか」という考えのもと、未来の下北沢まちづくりデザイン×Web3.0プロジェクトプロジェクト「aotoki lab.」を立ち上げた。
「aotoki lab.」の取り組みの一歩として始動したのは、ファーストコレクションNFT「neo sloth」の販売だ。
NFT(Non-Fungible Token)は「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」を意味する用語。耐改ざん性に優れた唯一無二のデジタルデータであるNFTは、これまでのデジタルデータとは異なり、個人が所持するデータそのものが資産的価値を持つことが特徴だ。
デザイン業とまちづくり事業を繋げる「接着剤」として、地域との繋がりやメンバーやパートナーを重んじてきた同社は今後、NFTの活用によりメタバース上で交流できる街作りをはじめとした、さまざまな施策を予定しているという。
NFTを地方創生の手段として注目している地域は増えており、今後もリアルとデジタルの双方における「二刀流のまちづくり」の動きは加速していきそうだ。
「neo sloth」という名前は新しさを意味する「neo」と、ナマケモノを意味する「sloth」を組み合わせた造語だ。NFTのデザインもナマケモノをモチーフとしており、マイペースに「下北ライフ」を過ごす人々の様子を表現している。8種類の素体で構成されており、1500パターンのデザインが用意されている(当初の計画では、配布はランダムで行われる)。
「neo sloth」を所有することで、下北沢の街を舞台にした多くのイベントに参加したり、特典を受けたりできるようになる。現時点では一例として、
・下北沢の飲食店でサービスを受けられる
・下北沢の劇場で優待される
・ポイントカードのような形の還元システム
・新しい下北沢のコミュニティ(DAO)
などの調整を行っている。また、そうした物質的な利益だけでなく、「neo sloth」をきっかけとした関係人口の創出・拡大、下北沢の街を盛り上げていく一員としてコミュニティへの参加など、地域に還元していく持続可能な循環を目指すという。
NFTを通して交流し、次世代の下北沢に繋がる基盤を構築していくことを目標に掲げる「あおとき」は、さらなるコレクションの販売や、保育施設の開設、今まで下北沢になかった街のシンボルを作るなど、ハード面の施策も含めて展開し、地元との結びつきの強化にも注力する。
長期的には、下北沢での実績をもとにNFTを用いたまちづくりのノウハウをパッケージ化して日本全国の自治体へ展開し、1つの地域で完結しないまちづくりについても推し進めていく計画だ。
コミュニティ参加の促進や地域の活性化など、Web3.0を用いた新たな形の「ローカル」と、その基盤づくりを担う「あおとき」にこれからも注目が集まりそうだ。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
未来の下北沢には「ナマケモノ」がいっぱい?デザイン×Web3.0で目指す、新しいローカルの形
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