LVMHが京都の老舗とパートナーシップを締結。異色のコラボで目指す「継承と発展」

ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、ティファニーなど、多くのラグジュアリーブランドを傘下に持つ業界大手の複合企業LVMH

同グループが手掛ける「LVMH メティエダール」が、京都の西陣織を代表する老舗「細尾」とのパートナーシップを締結した。

1200年にわたる西陣織の歴史を忠実に受け継ぐ細尾は、その新たな可能性の追求や伝統的な染色技法の復活など、革新的な取り組みでも知られている。

優れたクラフトマンシップの継承と発展を目的とするLVMH メティエダールは、細尾と協力し、日本が世界に誇るシルク産業の再生と発展を目指すという。

異色のコラボの裏には、伝統の「継承と発展」

細尾 代表取締役社長 細尾真さん(左)と、LVMH メティエダール CEO マッテオ・デ・ローサさん(右)

2015年に設立された LVMH メティエダールは、最高品質のマテリアルへのアクセスと確保を志すとともに、それぞれの産業で最高峰の技術を誇る世界的プレーヤーと提携することで、サヴォワールフェール(匠の技)の継承と発展にも重きを置いている。

パートナーシップを締結した細尾は、1688年から西陣織の伝統を継承している一方で、革新的な挑戦でも知られており、2010年には150cm幅(グローバル市場の標準幅)の西陣織の織機を独自に開発した。また、インテリアやファッションなど、さまざまな分野との協業にも積極的に取り組んでおり、多岐にわたる方法で西陣織の魅力を世界に発信している。

一見すると異色のコラボにも見える同パートナーシップだが、「継承」と「発展」の両輪を重んじる情熱が共鳴しあい締結に至ったようだ。

クラフトマンシップの「横の繋がり」のために

パートナーシップ締結に際して、細尾12代目の細尾真孝さんは「LVMHメティエダールのコミュニティに参画することを心から光栄に思います。この取り組みは、日本と欧州をはじめとする世界のシルク産業に革新をもたらし、長きにわたる人類と絹の歴史を未来へ繋ぐ、大きな一歩になると確信しています」と意気込みを表明した。

LVMH メティエダール プレジデントのジャン・バティスト・ボワザンさんも「細尾とのパートナーシップを通じて、先人たちが成し遂げてきた功績を再構築し、さらにすばらしい未来へとつなげられると確信しています」と喜びを語った。

また、LVMHメティエダール CEOのマッテオ・デ・ローサさんは「このコラボレーションは伝統的なシルク製造技術に革新をもたらすだけでなく、新しいアイデアや視点を生み出し、成長機会と世界的なビジビリティを高めるものです」とコメント。さらに「単に企業としての利益にとどまらず、グローバルな文化交流に貢献するものです」と続け、世界のクラフトマンシップにおける横の繋がりを促進する姿勢を示した。

LVMHメティエダールと細尾は今後、どのような形で西陣織を世界へと届けていくのだろうか。また、その挑戦によって世界のクラフトマンシップにはどのような風が吹くのだろうか。今後の動向にも注目だ。

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