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従業員1000人超の企業・団体を対象に、2023年4月から始まった男性従業員の育児休暇取得率の公表義務化。
厚生労働省などは7月31日、これらの企業・団体を対象に実施した「男性の育休取得率の公表状況調査(速報値)」の結果を公表した。
国際的に見ても低水準な日本人男性の育児・家事負担。公表義務化による効果は出ているのだろうか。
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男性の育休取得率の公表義務化とは?
厚労省によると、男性の育休取得率の公表義務化は、従業員1000人超の企業・団体が対象。
22年4月から順次施行されている「改正育児・介護休業法」の中身の一つで、企業・団体は年1回、自社のウェブサイトや厚労省のサイト「両立支援のひろば」など、誰もが閲覧できる場所に取得率を記載しなければならない。
7月31日に発表された厚労省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、企業の育休取得率は、女性が80.2%(前年度比4.9ポイント減)だったのに対し、男性は17.13%(同3.16ポイント増)にとどまっている。
これは、20年10月〜21年9月に生まれた子どもに対して育休を取得した数字になるため、法改正後の現在の数字はさらに進んでいると思われるが、いまだに男女間の育休取得率に大きな開きがあるのは事実だ。
なお、6月13日に閣議決定された「こども未来戦略方針」では、男性の育休取得率の目標(民間)を、25年に50%、30年に85%にするとしている。
取得率は46%。応募人材が増加した企業も
厚労省などが実施した「男性育休取得率の公表状況調査」は6月5日〜7月10日、ウェブ上で行われた。
調査時点は6月1日で、1385の企業・団体(従業員数1000人超)から回答があった。
その結果によると、回答企業の男性育休取得率は46.2%だった。また、回答企業の男性育休取得日数は46.5日だった。
雇用均等基本調査の男性育休取得率は17.13%のため、取得率の公表を義務化された企業・団体では、男性の育休取得促進の効果が高まったと考えられる。
また、「取得率公表義務化による効果・変化」として挙げられたものでは、「社内の男性育休取得率の増加」(33.1%)、「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化」(31.5%)などがあった。
注目すべきなのは、「新卒・中途採用応募人材の増加」と回答した企業・団体が、8.3%に上った点だ。
7月31日に開かれた記者会見に出席したコンサルティング会社「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長は、「人材獲得に課題のある中小企業ほど男性育休に取り組み、取得率を公表することが経営戦略として有効」と話した。
個別の周知は人事より「直属の上司」
現行の育児・介護休業法では、育休を取得しやすい職場の環境整備を企業に義務付けている。
今回の調査では、男性の育休取得率が80%を超える企業・団体は、取得率が低い(20%未満)企業・団体と比べ、自社の育休取得事例の収集・提供、研修の実施に取り組む割合が高かったという。
また、義務化されている「育休に関する個別の周知・意向確認」に関して、その実施者によって取得率に差が出たこともわかった。
男性の育休取得率が高い80%を超える企業・団体では、実施者が課長など「直属の上司」の割合が56.2%だった。
一方、取得率が低い企業・団体では、「直属の上司」は41.4%で、人事部門の担当者が78.5%と高かった。
つまり、男性の育休取得率の向上には、人事担当者より直属の上司が個別周知・意向確認を行うことがより効果的ということになる。
社会全体の構造を変えよう
調査結果を受け、イクメンプロジェクト座長で認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹会長は記者会見で、「公表義務化の効果が46%という数字に出ている。1000人超の企業だけでなく、対象を広げていく必要がある」 と話した。
その上で、「男性の育休取得が当たり前になっていけば、次に重要なのは『どんな育休をとるか』だ。企業における社内研修や事例の共有などで男性従業員に周知していくことが重要」と呼びかけた。
ワーク・ライフバランスの小室社長も、「産後うつのピークは2週間〜1か月。仕事がある夫に『夜中の授乳などを交代して』とはなかなか言えないため、育休を取ることは妻と子どもの命を守ることにつながる」と指摘。
「長時間労働ができない育児や介護中の社員がハラスメントを受けたり、評価されずにキャリアを諦めたりすることにつながっている。社会全体の構造を変えるため、政策の舵を切るべき」と提言した。
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人材獲得で効果も…男性の育休取得率「公表義務化」厚労省が6月調査の速報値を公表。何%だった?