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「神宮外苑を100年後も誇れるものに」対話なき再開発にNO。ミュージシャンら市民から抗議の声

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神宮外苑に集まった人たち神宮外苑に集まった人たち

神宮外苑の再開発とは>>【5分でわかる】神宮外苑の再開発、何が問題になっているの?知っておきたい5つのこと

音楽家・坂本龍一さんの意思を受け継ぎ、神宮外苑の再開発の見直しを東京都や事業者に呼びかける抗議活動「Demonstration Dialogue」が7月22日、神宮外苑で開かれた。

デモを主催したD2021は、東日本震災から10年の節目に、坂本さんとASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんが中心となって立ち上げた、民主主義(Democracy)を維持して未来を志向するムーブメントだ。

22日の抗議活動では、環境活動家やミュージシャン、地元住民らがスピーチをして、市民との対話を通して再開発を考え直すよう行政や事業者に求めた。

経営コンサルタントのロッシェル・カップさん

ロッシェル・カップさんロッシェル・カップさん

神宮外苑再開発見直しの署名を立ち上げた、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんは、市民との対話がないままに都側が再開発を進めてきたことが、問題を大きくしていると指摘した。

「最近欧米では、再開発プロジェクトの場合には、コミュニティの参加を呼びかけて、周りの市民の意見を反映した形で議論を対話に基づいて進めているようになっています。東京都と事業者がやろうとしているのは、それに逆行しています」

「今回、事業者の説明会は非常に限られた人に行われました。質問に対する答えも説得力がないものになっている。その結果、多くの市民が、我々が知らないうちになんでこの大きなプロジェクトになっているのか、となってしまっています」

オーサカ=モノレールの中田亮さん

中田 亮さん中田 亮さん

ミュージシャンでオーサカ=モノレールの中田 亮さんは、神宮外苑は「みんなのものだ」と強調した。

「これは、僕たちみんなのものなんですよ。誰かのものとか、何々さんが地権者ですとか言ってるんですけれど、ちょっと待ってください。その前に、これは僕たちみんなのものなんですよ」

「なぜかというとこれは東京の顔の一つやからです。日本の顔の一つでもあるわけですよ。だからここはみんなが使える場所だし、みんなの持ち物です……そらそうですよね。だってこれ公園ですよ」

「また同じような商業施設ができるんかと思ったら、うんざりしてしまいます。どうせ(再開発を)やるんやったら、緑を発展させて『みんながこれはええもんできたな、こっから50年でも100年でも誇れるな』と。これは東京の顔やと日本の顔やと。世界の皆さんもきてくださいと。東京のみんなも行きましょう、他の県に住んでいる人も、みんなで来たらすごいいいですよなんてものにしてほしい」

元ラグビー日本代表・平尾剛さん 

平尾 剛さんのメッセージを代読したASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さん平尾 剛さんのメッセージを代読したASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さん

2023年1月に、秩父宮ラグビー場の移転整備反対の署名を立ち上げた元ラグビー日本代表・平尾 剛さんは、「ラグビー経験者の一人として、この移転整備をただ指をくわえて眺めることはできませんでした」というメッセージを寄せた。

「この計画を黙認すれば、今後どれだけラグビーの素晴らしさを語ったところで説得力がないし、今の自分を形作ったラグビーを冒涜することにもなる。そう思うと居ても立ってもいられなくなったんです。ラグビーが大好きだから、その象徴たるスタジアムを守りたい。大好きなラグビーをひとりでも多くの人に知ってもらい、好きになって欲しい。この思いが私を突き動かしました」

学生団体Amamo代表の夏花さん

夏花さん夏花さん

署名活動やデモ、SNS発信を通して、神宮外苑再開発の見直しを訴えてきた、学生団体Amamo代表の夏花さんは、まちづくりを行政や企業に任せにしてきたことが、今回のような再開発が許容される社会にしてしまったのではないか、と訴えた。

「私もこの活動を始めるまで、正直人任せでした。渋谷に永遠にある工事のクレーンや、白い壁で囲われるビルを見ても、何も感じませんでした。きっと誰かがいい街を作ってくれるだろう、と人任せにしていました」

「でも神宮外苑の再開発に問題意識を持って行動し始めて、この再開発を知れば知るほど、この無関心さこそが、今回のような再開発の問題や他の社会問題を生み出していることに気づきました」

「人々の声が無視される一方的なまちづくりではなく、事業者と町の人が互いに抱く築きたい町のビジョンを対話を通して共有しあい、納得し合って、まちづくりが行われる社会を作るために、ここから、神宮外苑の再開発から、みんなで向き合って声をあげていきたいと思います」

ワタリウム美術館の和多利 浩一さん

和多利 浩一さん和多利 浩一さん

神宮外苑の近隣で育ったワタリウム美術館の和多利 浩一さんも、100年後にも残る良い場所を作るには、市民と行政の対話が欠かせないと語った。

「本当に180メートルのビルが必要なんですかとか、これ以上商業施設と呼ばれるものが必要なんですか、という話し合いができる場がなんとかできたらいいなと思うんです」

「伊勢神宮にも内苑と外苑がありますが、ここは伊勢神宮の外苑と同じ、明治神宮の外苑なんですよ。商業的なものなどは申し訳なさそうにたたずんでいるべきだと思うんですよね」

「100年、200年、ひょっとすると1000年変わらないような神社仏閣と同じように森を作っていくということが、本当に大事だと思います。みなさんと一緒に立ち止まり、行政の人がもう一度同じテーブルについて、1年に300回でも話し合うような形になるといいなと思います」

社会を作るためには話し合いが大切

抗議活動には子どもたちも参加「たいせつなきをきらないで」と訴えた抗議活動には子どもたちも参加「たいせつなきをきらないで」と訴えた

D2021が、神宮外苑再開発の見直しを訴えるデモを開くのは、4月22日に続いて2度目だ。

今回のデモは「Dialogue(対話)」を通した「Demonstration(デモンストレーション)」がテーマで、スピーチの後には集まった市民らがグループを作って、対話する場も設けられた。

後藤さんは「D2021を通して、社会を作っていく時には、一方通行ではなくて、とにかく話し合うことが大切だと学んだ」と語った。

神宮外苑の再開発をめぐり、7月17〜19日にかけて住民説明会が開かれた。

しかし、事業者は参加者を再開発の敷地の外枠から380メートル以内に区切り、参加資格がない人には、「動画やプロジェクトサイトでの質問の受付で出来る限り多く人に説明をしたい」とした。

この形式について、説明会の開催を求めてきた子育てをする有志の会の代表は、ウェブサイトでの質問の回答では「双方向」とは言えない、と指摘している。

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「神宮外苑を100年後も誇れるものに」対話なき再開発にNO。ミュージシャンら市民から抗議の声

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