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子どもを残したまま車を離れたことがあるドライバーは、直近1年で5人に1人に上ることが「子どもの車内置き去り実態調査(2023年)」で分かった。
ほとんどのドライバーが、子を残していることを「認識したまま」車を離れていたが、なかには熱中症の症状を訴える子どもが出たケースもあった。
近年、毎年のように子どもの置き去りが発生しており、冬に近づく11月でも車内に残された子どもが熱中症で死亡した事故も発生している。
また、車内にいる子どもの存在を忘れるなど「ヒューマンエラー」が原因の事故も多い。
調査結果や実際の事故から見えてくるものとは。
危険を知っているのに…20%が離れた
調査は、 子どもの置き去り検知システムを提供する「三洋貿易」(東京)が7月5日、昨年に続いて発表した。
対象は、1年以内に小学生以下の子どもを乗せて運転した成人ドライバー。
2023年5月26〜31日、全国の3377人(20歳代〜60歳以上)がオンライン上で回答した。
調査結果によると、「子どもを車内に放置したことによる熱中症が毎年のように発生していることを知っているか」という問いには、91.6%が「知っている」と回答した。
一方、「直近1年で子どもを残したまま車を離れた」と答えた人は20.4%(688人)に上った。
つまり、5人に1人が経験しているということになる。そのうち、子どもを車内に残していることを「認識していなかった」のは約0.4%(13人)だった。
約5%が「子どもに熱中症とみられる症状」
また、子どもを車に残したまま離れた経験があると回答したドライバーに「ヒヤリ体験」を聞いた。
子どもを車に残していることを「認識していた」ケース(675人)では、約5%が「めまい、体のほてり、体温が高い、頭痛、吐き気」など、子どもが熱中症とみられる症状を訴えていた。
認識していないケース(13人)に関しては、約20%が上記のような熱中症とみられる症状を経験していた。
なぜ子どもだけを残して車を離れてしまうのかについては、「保護者の意識が低いから」(60.5%)が最も多く、「用事を済ませる間に子どもを見てくれる人がいないから」(35.9%)と続いた。
「ほかのことに気を取られて子どもが車内にいることを忘れてしまうから」も22.3%いた。
置き去り防止機能を車につけた人も
調査では、子どもが車に置き去りにされているのを見た際の対応に関しても聞いた。
その結果、「そのまま通り過ぎた」という人は71.5%と、前回調査(88.1%)より16.6ポイント減った。
「警察に通報した」は3.3%、「店員や警備員など施設側に知らせた」は15.6%、「子どもに声をかけた」は5.4%などだった。
「子どもを無意識に車内に残してしまうことを防止する対策を行っているか」については、78.9%が「行っていない」と回答。
「子どもにクラクションの鳴らし方を教えた」(12.7%)、「子どもの近くにカバンなどの貴重品を置くようにした」(6%)などのほか、「置き去り防止機能を備えた車に乗り換えた」(3.8%)や「車内に子どもを検知できる装置を取り付けた」(3.4%)という人もいた。
相次ぐ置き去り死、11月でも熱中症で死亡
子どもを車に置き去りにするケースは、全国各地で相次いでいる。
香川県では2020年9月、車に置き去りにされた6歳と3歳の姉妹が熱中症で死亡。母親は飲食店で飲酒していた。
21年7月には、千葉県でも女児(1)が車に置き去りにされ、熱中症で死亡。母親は「エアコンはつけていた」と話したが、この日は午前中から30度以上の真夏日だった。
このほか、「無意識」のうちの事故も頻発している。
20年6月、茨城県で車に残された女児(2)が死亡した。父親は「保育園に預けてくる予定だったが、忘れていた」と話したという。
22年5月には新潟県で、22年11月には大阪府で、それぞれ同様の事故が発生しており、いずれも父親が保育園に預け忘れたり、預けたと思い込んだりしたことが原因だった。
なお、大阪のケースは11月の発生だが、死因は熱中症だった。
今回の調査は「子どもの車内置き去りの危険性への認識、無意識の置き去りが発生しうる認識はそれぞれ広がっている」としつつ、「多くの人がいまだに自分の身には起こらないと考えている」と指摘。
人の目に頼る対策には限界があることから、「万が一にも子どもを取り残さないため、ヒューマンエラーを補完する技術を搭載した安全装置の役割は大きい」としている。
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子どもを車に置き去り、5人に1人が経験。11月に熱中症死したケースも。人の目に頼る対策の限界とは