フランスで大規模な暴動が起きた理由は? 17歳少年を警官が射殺したことへの怒りが発端だった

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フランスで、17歳のナエル・Mさんが警察官に射殺された後、各地で抗議活動が続き、一部が暴徒化している。

暴動は4日連続で続いており、パリ近郊などで車に火がつけられ、店舗が襲撃された。7月1日現在で470人以上が逮捕されたと報じられている
フランス郊外ナンテールで開かれたナエル・Mさんが警察官に殺されたことに対する抗議活動(2923年6月29日)

17歳のナエル・Mさんの死

ナエルさんは27日朝、パリ北西に位置するナンテールで、検問中の警察から車で逃走しようとして、至近距離から撃たれた。

事件の様子を撮影した映像によれば、2人の警察官が黄色い車を停止させ、そのうち1人が運転手に銃を向けて、走り去ろうとする車の中に銃を発砲した。

車はその後、ナンテールにあるネルソン・マンデラ広場の近くの歩道に衝突し、運転していたナエルさんが死亡した。

車には他にも2人の人物が乗っていたが、そのうち1人は警察に逮捕され、もう1人は逃走した。

映像の前に何があったのか、ナエルさんと警察官の間でどのような会話を交わされたかは明らかになっていないものの、17歳の少年の死は多くの人々の怒りに火をつけ、フランス全土に抗議活動が広がった。

パリ・コンコルド広場で開かれた抗議活動(2023年6月30日)

警察側の主張

警察によると、警察官はポーランドナンバーのメルセデスベンツの車両がバス優先車線を走っており、運転手が非常に若かったために停車させたとしている。車は停車するまでの間、信号を無視して走ったという。

さらに警察は、運転手は警察官に危害を加えようとして車を発進させたと主張している。

しかし映像には、警察官が運転手に向かって窓越しに武器を向け、走り去ろうとする車に発砲する様子が映っていた。

AFP通信によると、映像では誰かが「頭を撃つぞ」と言っているのが聞こえるが、それが誰の発言なのかは明らかになっていない。

フランス全土で抗議活動

フランスでは2023年、警察の銃撃でナエルさんを含めて3人が死亡している。2022年の死者数は13人だった。

2017年の法改正で、フランスでは警察官がより幅広い状況での銃使用が可能になった。ル・モンドによると、この改正以降、走行している車両に対する警察の発砲件数が増加している。

また、ロイター通信によると、2017年以降に警察の銃撃で死亡した人のほとんどが黒人やアラブ系だった。今回亡くなったナエルさんは、北アフリカにルーツがあった。

ナエルさんの死後、北部のリールやアミアン、東部のディジョン、南部のトゥールーズなど、フランス各地で抗議活動が行われた。

そのうち一部が暴徒化し、27日夜には約1200人の警察官が配備されて31人が逮捕された。また、28日夜にナンテールのパブロ・ピカソ地区で起きた暴動では、車に火がつけられ、警察が催涙ガスを使用した。

ナンテールで起きた暴動で火をつけられた車(2023年6月30日)

著名人もこの問題について発言しており、サッカーフランス代表のキリアン・エムバペ選手は「私のフランスに心を痛めています。許しがたい状況です。ナエルさん家族や愛する人々に思いを寄せています。小さな天使はあまりに早く旅立ってしまいました」とツイートした。

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ナエルさんの名字は、イニシャルのMしか公表されていないが、母親であるという女性がSNSに投稿された動画で「彼らは私の大事な子どもを連れ去ってしまった。彼はまだ子どもで、母親を必要としていたのに」と語った

 「彼は今朝私にキスをして、愛していると言いました。私は彼に気をつけてね、愛していると伝えました。一緒に家を出て、彼はマクドナルドへ向かい、私は他の人たちと同じように職場へ行きました。そして、子どもが撃たれたと聞かされたのです。一体私に何ができたというのでしょう?」

女性は、「私には彼しかいない」「彼は私の人生であり、親友で、息子で、私にとってすべてでした。みなさんの支えに感謝します」とも述べている。そして、ナエルさんが殺された場所で、平和な抗議デモをするよう呼びかけた。

ナエルさんを撃った警察官は身柄を拘束されており、「危険を感じて発砲した」と主張している。しかし事件を捜査している検察官は「武器を法的に使用できる条件は満たされていなかった」としている。

一方、ナエルさんの家族は、警察の「危険を感じて発砲した」という主張を、受け入れ難いと否定。

家族の弁護士は、警察官を過失致死ではなく殺人罪で起訴するよう求めており、公正さを保つために、別の地域の警察が捜査を行うよう望んでいるとAP通信に語った。

フランス政府は事件をどう捉えているか

BBCによると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ナエルさんの射殺を「許されない」と非難し「国民が、今回の事件と若くして亡くなったナエルさんに対して感じている気持ちを表現し、彼の家族に私たちの連帯と国民の愛を伝えたい」と述べた。

マクロン大統領は同時に、暴動も正当化できるものではないとして、冷静さを求めている。

一方、警察組合は、大統領が警察官の行為を非難したことに対し、有罪判決が言い渡されるまでは無罪と推定されるべきだと主張している。

ジェラルド・ダルマナン内務大臣は、暴動を「許容できない暴力の夜だ」と非難した一方で、「フランス警察」という警察組合の1つが、「警察官たちは若い犯罪者に発砲した」「ブラボー」とツイートしたことに対し、法的措置を取ると述べた。

すでに削除されたこのツイートには、ナエルさんの親が「我が子を教育できていなかった」と非難する内容も含まれていた。

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。

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フランスで大規模な暴動が起きた理由は? 17歳少年を警官が射殺したことへの怒りが発端だった

Kate Nicholson