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難民認定の申請中でも強制送還を可能にする入管法改正案が5月9日、衆院本会議で自民、公明、維新、国民民主などの賛成多数で可決され、参議院に送られた。
これを受け、難民支援などに取り組む複数の市民団体が同日、連名で声明を発表。改正案が「多くの人の命や人権を脅かす、重大な問題を含んでいる」として、廃案を求めた。
現行法では、難民認定の申請中の外国人は一律で強制送還が停止される。一方、改正案では申請が3回目以降の場合、「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ申請中でも送還が可能となる。
さらに、航空機内で抵抗して送還を妨害した場合などを対象に、罰則付きの退去命令制度も新たに創設する。
日本では2022年に202人が難民認定されたが、他の先進国と比べて認定数の少なさが際立っており、ハードルは極めて高い。
こうした点を踏まえ、声明では法案が「低い難民認定率に改善策を取らない一方、難民申請者の送還を可能にし、迫害を受ける恐れがあるのに難民を本国に送り返す」ものだと指摘した。
その上で、「非人道的な収容による犠牲を繰り返させず、苦境にある難民などの人たちの排除をさせない」として、廃案にするよう要望した。
法案に反対する署名には、8日時点で19万8000筆以上の賛同が寄せられているという。
声明に名を連ねたのは、国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル日本」、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」、「全国難民弁護団連絡会議」など7団体。
一方、立憲民主党と共産党、れいわ新選組などは9日、改正案が「保護されるべき人を出身国に送還し、命が失われることになりかねない」などとして、対案となる法案を参議院に提出した。
対案では、難民認定の手続きを透明化するため、独立した第三者機関を新設して認定審査を担うことや、入管施設への収容の可否は入管庁ではなく裁判所が判断すること、収容期間の上限を設けることなどを盛り込んでいる。
入管法改正案は2021年の通常国会にも提出されたが、名古屋入管での収容中にスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが死亡したことを受けて反対の声が広がり、廃案に追い込まれた。
今回の改正案は、廃案となった21年の旧法案をほぼ維持する内容となっている。
政府の改正案を巡っては、国連人権理事会の特別報告者らが日本政府に対し、国際人権基準を下回っているとして「徹底的な見直し」を求める共同書簡を4月18日付で送っている。
<取材・執筆=國﨑万智(@machiruda0702)>
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「苦境にある難民を排除させない」入管法改正案の廃案求め、7団体が声明。立憲など対案提出
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