アメリカ空軍によって撃墜された中国の偵察気球。この気球を、アメリカ空軍が監視する際に活躍したのが、「ドラゴンレディ」と呼ばれる名機です。
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アメリカ空軍は、中国から飛んできた気球に偵察能力があると判断し撃墜しました。
アメリカ国防総省によりますと、4日午後、アメリカ軍のF22ステルス戦闘機が、南部サウスカロライナ州の沖合およそ11キロの領海の上空で、アメリカ本土を飛行してきた中国の気球に空対空ミサイル1発を発射し、海に墜落させました。
撃墜自体はF22ステルス戦闘機によって行われましたが、その裏では「ドラゴンレディ」という偵察機が大きな役割を果たしています。
米国防総省は、自国の領空を飛行する偵察目的とみられる中国の気球を監視するため、冷戦初期に初めて設計された航空機を利用しました。その航空機は「ドラゴンレディ」が愛称のU2偵察機です。
ドラゴンレディの特徴は、昼夜を問わず高度2万1300メートルの成層圏を長時間、飛行できることです。この高さは、知られている他の米空軍機では到達不可能な高度です。
この偵察機は、1955年の冷戦時代から運用されているものの、常に改良が重ねられています。現在飛行しているドラゴンレディは、2012年に技術改良が行われました。一部の機種は、撮影した情報をリアルタイムで通信できるようになっています。
また、ドラゴンレディは世界で最も操縦が難しい飛行機ともいわれています。その理由は、極限まで空気抵抗を減らし、軽量化を徹底されているからです。また、翼の全長は31メートルもあります。その長い翼が原因で着陸時に揚力が発生し機体が浮き上がってしまうこともあるそうです。
現在では、偵察に特化したドローンがありますが、ドラゴンレディはいまだに現役です。
ドラゴンレディの強みとしては、大きく、沢山の機器を搭載でき、情報収集能力が高い点です。また、運用コストが偵察ドローンよりも大幅に安いことも、ドラゴンレディが現役で使用されている理由の1つ。ドラゴンレディの1回の飛行にかかるコストは偵察ドローンの1/3とされています。
ドラゴンレディは2050年まで運用寿命を延長する計画。開発から100年近く活躍する、まさに名機といえるべき存在です。
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スパイ気球事件「影の主役」ドラゴンレディの正体