核爆弾は非常に強力な兵器ですが、即死の範囲外であれば、条件次第では生存出来る可能性もあります。今回、キプロスのニコシア大学の研究者たちが、コンピュータシュミレーションを用いて、核爆発による風が隠れた建物に与える影響と、屋内のより安全な場所について研究しています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:Motherboard ,Physics of Fluids
この研究は「核爆発の屋内における人間への影響」と名付けられ、「Physics of Fluids」誌に掲載されました。研究では、核爆発による高速風が、シェルターや人体にどのような影響を与えるかが考察されています。
研究では、核爆発の直後を3つの区分に分けています。重度被害地域、中度被害地域、軽度被害地域です。最初の区域にいる人や建物は、ほとんど消滅してします。最後のゾーンにいる人は、命に別状はないものの、軽いケガをする可能性があります。生死が分かれるのは中程度の被害地域で、放射線は持続しますが、コンクリートの構造物などがあれば人間は生き残ることができます。研究の重点が置かれているのはこのゾーンです。
研究者によると、主な危険は、構造物が一時的に強力な風洞になる点だそうです。「屋内空間における主な危険は、建物の様々な開口部、例えば窓から侵入する極度の高速風です」と研究者は述べています。
この研究では、過圧、つまり核爆発後の爆風に続く圧力のレベルがシミュレートされています。シミュレーションでは、大陸間弾道ミサイル「サタン2」を念頭に置き、750キロトンの原子弾頭を使用しました。ちなみに、アメリカが広島と長崎に投下した核兵器は約20キロトンです。
シミュレーションでは、750キロトンの爆発から発生した爆風波の圧力は3〜5psiとしました。3psiの過圧では80gの加速度に達し、5psiでは140gを超える加速度になります。この圧力では、人体への影響が顕著に現れます。
しかし、部屋の内部には、気流とそれに伴う力が減少する領域があるとのこと。まず、屋内での衝撃波の伝播は、壁と相互作用し、角、ドア、障害物の周りで偏向します。これらの相互作用は高い圧力を引き起こし、負傷のリスクを高める可能性があるそうです。
爆風の影響は0.5秒程度と短いものの、風の強さは人体にダメージを与えるほど大きいものです。廊下や窓、ドアの周辺では、その影響はより大きくなります。つまり基本的には、地平線上に核爆発が見えたら、今いる建物の奥に入り、ドアや窓などの開口部から離れることが重要。そのため、もっとも安全なのは、「開口部のない部屋」やもしくは「廊下の隅」です。
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核爆発から身を守る方法:家の中で最も安全な場所がシュミレーションで判明