イーロン・マスクはTwitter社員に「ハードコアな働き方」を求め、「従えないものはクビ」という強烈な方針で同社の改革を進めてきました。
そんな彼のいう「ハードコアな働き方」とは、実際のところどれほど厳しいものだったのでしょうか?これについて、テスラやスペースXの元社員達が語っています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:Wall Street Journal ,INSIDER ,Vator
イーロン・マスクの求める「ハードコアな働き方」はどれほど厳しいのか?
マスク氏が語る「ハードコアな働き方」は、長時間、高い強度で働くことを表す言葉です。テスラやスペースXの元社員の話からは、この働き方がどのようなものだったのかが見えてきます。
2013年、直属の上司との誤解からテスラを解雇されたというカール・メドロック氏は、マスク氏が求める「週80時間〜100時間」という超人的な働き方が、実際にテスラでは行われていたと語ります。
私たちは皆、週に80時間から100時間働いていました。
これだけではありません。イーロン・マスクが従業員に求める働き方は、プライベートにも影響が及ぶ想像以上に厳しいものだったようです。
確実に午前2時にメールが来て、午前6時からは電話会議があります。
あるとき、彼は午前3時に私を呼び出し、自分がオフィスにいるからどこにいるか教えてくれと要求してきました。私は「3時間前に寝たよ、もっと寝たいんだ」と言いました。彼は、仕事があるから来てくれと言うのです。
このようなハードコアな仕事な働き方を務められたのは、使命感や情熱からだったとテスラやスペースXの元社員らはいいます。
家族のことも、情熱も、趣味も、何もかもがわからなくなっていましたが、自分たちがやっていることが好きだったんです。
でも、イーロンには一度もあったことがありませんし、イーロンがそのようなラフ・ラー・ミーティング(チームを集め、素晴らしい仕事を祝う会議)をするのは見たことがありません。
2011〜2018年の間、スペースXに努めていたギャレット・ライズマン氏は、この激務に耐えられたのはマスク氏が厳しいから、という理由ではないと語っています。
非常に厳しい環境ですが、大体、彼が鞭を打っているからというわけではありません。人類の生活を多惑星型にする、火星に行く、火星にコロニーを持つ、などなど。それがスペースXの社員全員の原動力になっています。
そして彼は率先して、このハードコアな働き方の見本となっています。彼は過去、テック系メディア「VatorNews」のインタビューに「毎週80時間から100時間の労働をしている」と語っていました。その働き方は現在でも変わっておらず、最近でも彼は「Twitter社で睡眠をとっている」とツイート(現在は削除済み)しています。
経済メディア「WSJ」は動画の中で、マスク氏は長年に渡って、このハードコアという考え方を使ってチームをまとめてきたと指摘しています。例えば、2012年、テスラが高級セダン「モデルS」の増産を準備していたとき、マスク氏はチームに「ウルトラ・ハードコア」という件名のメールを送り、ほとんどの人が経験したことのないレベルの激しさに備えるよう伝えました。
このようなハードコアな働き方に会社が耐えられたのは、彼の掲げるミッションに社員が熱心になっていたからでしょう。しかし同メディアの記者であるティム・ヒギンズ氏は「とはいえTwitterでは、ミッションは必ずしも世界を救うことではない」と指摘しています。
言論の自由を守るということ、もちろんそれは重要なことですが、火星に行こうとするような劇的なことではありません。
実際のところ、Twitterを買収したあと、彼がメールで送った「ハードコアな働き方」を求めるTwitter2.0のビジョンには何百人もの社員が賛同せず、退社することを選択しました。
このような課題だらけの現状で、今後Twitterがどうなっていくのか、マスク氏がTwitter社をまとめ上げられるのかどうかは分かりません。しかし倒産寸前のテスラを危機から救った同氏だけに、赤字経営のTwitterが「世界のプラットフォーム」になることを期待してしまうこともまた、マスク氏の持つ強さの1つなのです。
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「深夜3時に出社命令」「週100時間労働」イーロン・マスクがTwitter社員に求める〝ハードコアな働き方〟の実態