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台風15号のデマ画像、投稿やリツイートで法的責任を問われる?専門家に聞いた

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Twitterで拡散された、台風15号の水害に関する虚偽のツイートTwitterで拡散された、台風15号の水害に関する虚偽のツイート

台風15号の豪雨被害に関連し、街全体が水没している静岡県のフェイク画像がTwitter上で拡散された問題。災害時に偽情報がネット上で広まりやすい実態を、改めて浮き彫りにした。

問題となった投稿は、「ドローンで撮影された静岡県の水害。マジで悲惨すぎる…」とのコメントとともに、濁流の間に民家が浮かぶ画像3枚を添付していた。

投稿者はその後のツイートで、画像がAIで生成したものだと認めた。

2016年4月の熊本地震の発生時には、「おいふざけんな、地震のせいで うちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」と書き込んだ虚偽のツイートが拡散。投稿には、街中を一頭のライオンが歩く画像が添えられていた。

この投稿者はその後、偽計業務妨害の疑いで逮捕され、不起訴処分(起訴猶予)となった。

今回の豪雨災害をめぐるツイートのように、虚偽の画像と知りながら故意に投稿することや、本物と信じ込んでリツートし拡散する行為は、法的責任を問われるのだろうか?

ネットのトラブルに詳しい牧野和夫弁護士に聞いた。(以下、敬称略)

刑事・民事ともに責任を問われる可能性

━今回SNS上で出回った投稿は、「ドローンで撮影された静岡県の水害」という説明とともに、画像生成AIによって作成した偽の画像を添えていました。こうした虚偽の投稿をした場合、法的責任を問われることはあるのでしょうか。

牧野:今回のケースでいうと、刑事上は「偽計業務妨害罪」(刑法第233条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

民事上では、風評被害など損害を招いたという不法行為による損害賠償責任を問われる可能性があります。

刑事責任は、その結果として他人の業務を妨害したこと、民事責任はその結果として風評被害など実際の損害を生じさせたことがそれぞれ必要になります。

━「他人の業務を妨害」「実際の損害」とは、今回のケースでいうと具体的にどういった状況が考えられますか。

牧野:例えば、偽の画像のもととなった地域で110番や119番が相次いで警察や消防に混乱が生じたり、該当地域の自治体職員に不必要な対応をさせたりした場合が考えられます。

民事上の損害でいうと、「該当地域の農作物が全部ダメになった」「旅行に行けなくなった」といった風評被害を招いたケースなどです。

「真実と思い込んで」リツイートした場合は?

━今回のようなデマの投稿をリツイートした場合、法的責任はどうなりますか。デマと知りながら拡散した場合と、「真実だと思い込んだ」ため不本意にリツイートしてしまった場合とで、責任の重さに違いはあるのでしょうか。

牧野:刑事上の偽計業務妨害罪は「故意」であることが成立要件の一つなので、罪が成立するのは真実ではないことを知った上でリツイートしている場合に限ります。

一方で、民事上の不法行為による損害賠償責任は、故意または過失があれば成立します。なので真実ではないことを知っていた場合はもちろん、真実と思い込んでリツイートした場合でも過失があるため責任を問われる可能性があります。

最初の投稿が広まった後、投稿者がツイートを削除した場合、法的責任に影響はありますか。

牧野:刑事責任は、すでに既遂となっていれば犯罪の成立に影響はありません。民事責任は、削除するかしないかで損害賠償の金額に差が出てくるでしょう。

━今では誰もが簡単に偽の画像を作成し、ネット上で公開することができます。今回のように、被害地域に関する偽の情報に触れた時、どのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。

牧野:リツイートされた画像の一部が自動的に切り取られる設定をめぐる訴訟の上告審判決で、最高裁は「(リツイートが)著作者の氏名を表示する権利を侵害した」との判断を示し、話題になりました。

これは今回のケースとは異なりますが、リツイート行為の法的責任を考える上で参考になる判例といえます。うかつにリツイートをすると、思わぬところで民事上の責任を負わされることになりかねません。

巧妙に作られた画像を見破ることが難しい現状では、真偽不明の情報や画像を疑うこと、拡散行為に慎重になることが大切です。

<取材・執筆=國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版>

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