アメリカ・ニューヨーク州のレティシア・ジェームス司法長官は9月21日、ドナルド・トランプ前大統領と3人の子どもたち、ドナルド・トランプ・ジュニア氏、イヴァンカ・トランプ氏、エリック・トランプ氏を、不正行為で提訴した。
訴訟では、トランプ氏と3人の子どもがニューヨーク州で役員を務めることの禁止や、不正に得た2億5000万ドル(約361億円)の返還、融資の制限などを求めている。
ジェームス司法長官は記者会見で「ドナルド・トランプ氏は私腹を肥やすため、そして制度を悪用するために、資産価値を何十億ドルも不当に水増しし、それによって、我々全員を騙した」と述べた。
ニューヨーク州検察は何年も、トランプ氏の脱税疑惑を捜査してきた。
ジェームス司法長官によると、捜査からトランプ氏らが資産価値を何十億ドルも水増しするなどして、銀行から有利な条件で融資を受けたり、保険条件を結んだりしたほか、税制優遇を受けてきたことが明らかになった。
例えば、フロリダにあるリゾート施設でトランプ氏の別荘「Mar-A-Lago(マー・ア・ラゴ)」は、資産価値が7500万ドル(約108億3100万円)程度であるにも関わらず、7億3900万ドル(約1607億円)とされていた。
また、ニューヨーク市にある資産の一つは、実際の価値の60倍高く見積もられていたという。
ジェームス司法長官は、3年間で65人の関係者に話を聞き、今回の提訴に踏み切ったと述べた。訴状では23以上の不動産や資産に関連した不正行為が指摘されている。
また、トランプ氏と3人の子どものほかに、トランプ一族が経営する複合企業「トランプ・オーガニゼーション」で長年最高財務責任者を務めたアレン・ワイセルバーグ氏と、彼の右腕だったジェフリー・マコニー氏も被告に名を連ねている。
さらにニューヨーク州司法当局は、トランプ氏が連邦法に違反している可能性もあるとして、連邦検事や国税庁にも捜査を促している。
トランプ氏は、今回の提訴について「人種差別主義者の司法長官による魔女狩りだ」と述べ、強く反発している。
一方、トランプ氏は大統領に立候補した時から納税申告書を公表を拒否し、脱税疑惑が取り沙汰されてきた。
ニューヨークタイムズは2020年、トランプ氏が2016年に支払った連邦所得税が750ドル(約10万8000円)だったという調査結果を発表。2017年も同額で、その前の15年のうち10年は支払っていなかった。
トランプ氏は不正行為のほかにも、訴訟のリスクを抱えている。
8月には、国家機密文書をホワイトハウスから持ち去ったことでマー・ア・ラゴを強制捜査された。トランプ氏はこの問題でも、刑事責任を問われる可能性がある。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
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NY司法当局が、トランプ前大統領と3人の子どもを提訴。詐欺などの不正行為を指摘