9月1日、約10万5000人の犠牲者を出した関東大震災から99年が経つ。震災直後のデマによって、多くの朝鮮の人たちが殺害された痛ましい事件、そして、いまも存在する差別について、在日コリアン3世であり、出入国在留管理局(入管)に収容されている人々の支援団体「Save Immigrants Osaka」のメンバーとして活動するチャ・ヨンジ(Jwa Yongjik)が考えた。
僕は在日コリアンが多く住む地域で日本の学校に通って育った。そのため、日本人の友だちもたくさんいたし、在日コリアンの友だちもたくさんいた。子どもの頃に差別を受けた記憶がない。
そんなこともあってか、自分が朝鮮人であるということにあまり関心がなかった。どうでもいいことだった。どちらかというと貧しい家庭だったので、子どもに民族的な教育をする余裕がなかったのか、それとも、大人になって興味をもったときに自分で勉強すればいいと、親が思っていたのか、家庭で自らの歴史について教えられることもなかった。
だから、在日コリアンが日本にいる歴史的な背景も、韓国籍と朝鮮籍の違いも、在日コリアンにたいする、外国人登録法に基づく強制的な指紋押捺制度も、在日コリアンが年金に加入できなかったことも、在日朝鮮人を韓国へ強制送還させるための「大村収容所」も、関東大震災時の朝鮮人の虐殺も、これらすべて、自らの歴史について、ひいては、日本の歴史について、ほとんど何も知らずに育った。そんな僕は、2013年に大阪と東京で起きたヘイトスピーチデモをきっかけとして、自らが朝鮮人であることや、在日コリアンの歴史自体に関心をもった。その後、「Save Immigrants Osaka」のメンバーとして、入管に収容されるほかの外国籍住民の支援をするようになる。かれらが日本で置かれた状況を見ると、過去に在日コリアンが経験した困難を同様に経験しているように思えた。日本の人たちが在日コリアン、そして日本の歴史についてしっかりと向き合っていれば、もっとマシな社会になっていたのではないか? 支援をしながらいつもそう思っている。
9月1日で関東大震災から99年。震災時の朝鮮人の虐殺について、それをなかったこととして、政治の場やネット空間では歴史が捏造されている。だからいま、あらためて、その悲惨な歴史について書き記そうと思う。
https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220901-great-kanto-earthquake-massacre
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在日コリアン「子供の頃に差別されなかったから在日差別を知らなかった。大人になって差別の歴史を知って日本人を正しい方向に向かわせたいと思った」