LGBTQへの差別はもう無くなった?「結婚の平等」めぐる展示会が問うこと

2021年の『私たちだって“いいふうふ”になりたい展』の様子

「日本で同性婚が認められるようになったら私と結婚してくれますか?」

「パートナーが産んだ子どもを一緒に育てていても、一緒に親権者になることはできません」

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自身のセクシュアリティなどに関わらず婚姻できる「結婚の平等」をテーマにした『私たちだって“いいふうふ”になりたい展in西宮2022』が8月26日まで、兵庫県の西宮市男女共同参画センターウェーブで開かれています。

展示会は、法律上の性別が同じふたりが結婚できないことでどんな困りごとがあるのか、自治体が性的マイノリティのカップルの関係を認める「パートナーシップ制度」と結婚の違いなどについて、イラストや手紙を通して伝える内容です。

主催するのは、家族に頼ることが難しいLGBTQ当事者らのための任意後見人の請負や、結婚の平等の実現に向けた講演やイベントの開催を行う大阪市の特定非営利活動法人『カラフルブランケッツ』。

理事長の1人でレズビアンの井上ひとみさんは、「どんな性の人でも結婚ができる、差別や偏見を受けないといった世の中が当たり前になってほしいです」と、展示会に願いを込めます。

◆「まだまだ生きやすい社会ではない」。だから展示を

井上ひとみさん(右)と、パートナーの瓜本淳子さん。長く一緒に暮らしているが、同性同士の結婚ができないことで、法的には家族として認められない

法律上の性別が同じふたりの結婚が認められていない日本では、どれだけ長く一緒にいても法的な関係ではないため、パートナーや子どもが命にかかわる病気や怪我をした時に病院から面会を断られる、遺産を相続できないといった問題が指摘されています。

「同性婚の法制化」について「認めるべき」が65%、「認めるべきではない」は22%となった朝日新聞の2021年の世論調査などの一方で、井上さんは「選挙の際に、結婚の平等は大きな争点にはなっていないと感じます」と指摘。

「根強い差別や偏見から、セクシュアリティを周囲に明かしている当事者はまだまだ多くはありません。『自分ごと』として捉えるきっかけとして、異性の夫婦と変わらない日常や、性的マイノリティだからこそ直面する困難をわかりやすく伝えたいなと思いました」と、企画の意図を語ります。

展示会は今回で2回目。昨年に続いて開催を決めた背景には、最近のLGBTQをめぐる社会の動きが大きく関わったといいます。

例えば、自民党の国会議員らによる6月の会合で、「同性愛は精神障害、または依存症」といった差別的で誤りのある冊子が配布参議院議員選挙で当選した自民党の井上義行議員も差別的な発言をし、批判が集まりました。

全国のLGBTQ当事者らが国を相手取って起こした「結婚の自由をすべての人に」裁判でも、2021年3月の札幌地裁は「法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と違憲判決を下したものの、大阪地裁は6月に「婚姻制度は、男女が子を産み育てる関係を保護することが目的」などとして、原告側の訴えを棄却しました。

同性パートナーと、大阪市の「パートナーシップ宣誓証明制度」を利用しているという井上さん。「日本ではもうLGBTQへの差別はなく、十分に生きやすい社会になったと言われることもありますが、まだまだそんなことはないと思い知らされる日々です。しんどいけれど声を上げていかないと、自然には良い方には向かっていかないと思います」と語ります。

◆1番の願いは「差別や偏見がなくなること」

結婚の平等の実現は、なぜ必要なのでしょうか。展示では、結婚とパートナーシップ制度の違いや世界の状況などについて、イラスト付きのパネルで解説しています。

近年は子どもを育てる同性カップルも増えており、「結婚できなくて困ることの例」として、「パートナーが産んだ子どもを一緒に育てていても、パートナーと一緒に親権者になることができない」「子どもを作るための生殖医療を受けられない」といった最近の実情も紹介しています。

結婚できなくて困ることの例

法律上の性別が同じカップルは結婚ができないことで、財産の相続権がないという問題も生じています。家の所有者が亡くなった時に、2人で住んでいた家を出ていかなければならなかったり、生命保険の受取人に指定したとしても法的関係でないために証明書類を取れず、保険金を受け取れなかったりする可能性があります。

会場ではそういった問題の解決を目的に作る「公正証書遺言」の一部も展示。井上さんは「同性婚を願いつつも、いつ実現するかは分かりません。結婚できずに困っている同性カップルに向けて、今の日本の法律の中で、より安心して生きられる方法を紹介したいと思いました」と狙いを語ります。

井上さんが実際に作成した公正証書遺言

全国のLGBTQ当事者が今感じている思いを手書きでしたためた吹き出しポップや、13組のLGBTQ当事者のカップルがパートナーに宛てて書いた手紙も展示。「日本で同性婚が認められるようになったら私と結婚してくれますか?」など、切実な思いがつづられています。

井上さんは「異性カップルの多くがそうであるように、私たち同性カップルも、より安心して暮らしたいという理由だけで結婚したいと思っているわけではありません。ただ、愛している人と家族になりたい。そういった思いが伝わったら嬉しいです」と願いを込めます。 

同性カップルがパートナーに贈る手紙
同性カップルが手書きで思いをしたためたポップ

展示会は今回、西宮市の協力で実現したといいます。井上さんは、「LGBTQ当事者や関心が強い人だけでなく、いろんな年代の人に来てほしい」「いろんな自治体や企業から、うちでも展示をやってほしいとオファーがきてくれたら」と望み、活動を続ける強い思いについて、こう語ります。

「国が同性婚を法制化してくれたとしても、今の日本の現状では差別や偏見を恐れて、すぐには結婚しない人、できないカップルもいると思います。でも国がLGBTQの権利を認めることで、差別は減っていくと思います。それが、私が同性婚の法制化を望む一番の理由です」

◆展示会情報

会場:西宮市男女共同参画センターウェーブ

会期:8月26日まで

時間:11時~20時

入場:無料で申込不要

<取材・文=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版>

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LGBTQへの差別はもう無くなった?「結婚の平等」めぐる展示会が問うこと

Takeru Sato