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「教員の残業に歯止めがかからない」残業代を支払わない法律、見直し求める署名4万1000筆超える

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「給特法がある限り、学校現場で残業に歯止めがかからない」

教員に残業代を支払わないことを定める「給特法」の見直しを求め、7月26日、現役の教員や有識者らが東京都内で記者会見を開いた。

会見に臨んだ名古屋大学の内田良教授や公立高の教員、西村祐二さんらは、給特法の「抜本的な改善」を求める署名を集め、同日時点で4万1000筆を超えた。署名は秋以降、各政党や文部科学省などに提出するという。

現役教員の西村祐二さん(右から2番目)らが法改正を求めた現役教員の西村祐二さん(右から2番目)らが法改正を求めた

教員の給与について定める給特法は1971年に制定。同法により、教員に対して月給の4%を一律に上乗せして支給する代わりに、残業代は支払われないことになった。

残業時間に見合った残業代が支払われない実態は、「定額働かせ放題」などと揶揄されてきた。

西村さんは「給特法がある限り、残業代のコストがかからず、残業時間の上限を超えても管理職の責任にならない。学校現場で残業に歯止めがかからない」と指摘。「給特法の問題が教員不足や教員採用倍率の低下を招いている。残業をゼロにするため、給特法の抜本的な改善を求める」と訴えた。

日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は教員志望の学生が減っている理由は長時間労働や過酷な労働環境。教員志望の学生からは『やりがい搾取』『残業代が出ない職場に行きたくない』という声が上がっている」と説明。「根本的に労働環境を改善しないと、教員志望の学生は増えない」と強調した。

内田教授らの調査では、全国の公立小中学校で働く教員の平均残業時間が1カ月で100時間以上に上ることが明らかになっている。

調査は2021年11月20〜28日、20〜50代の公立小中学校で働く教員924人にインターネット上で実施。管理職は含まず、小中学校でおよそ半々の割合で回答を得た。

1カ月あたりの残業時間の平均は105時間だった。小学校で98時間、中学校で114時間に上り、160時間以上に及ぶ教員も1割以上含まれた。

1日の休憩時間の平均は、小学校で9.4分、中学校で14.6分だった。「0分」と回答した教員は小中ともに約5割を占めた。所定の45分以上の休憩を取っている教員は小学校で5.6%、中学校で11.8%にとどまった。

文部科学省は、公立校で勤める教員の勤務時間についてガイドラインを定め、時間外勤務の上限の目安を1カ月あたり45時間、1年間あたり360時間などと設定している。内田教授らの調査では、この基準を大幅に上回ると見込まれる長時間労働が目立つ結果となった。

勤務時間「過少申告」の要求も

労働時間が不可視化される実態も垣間見られた。

1週間あたりの残業時間が40〜59時間の小学校教員の3人に1人(32.7%)、中学校教員の4人に1人(24.4%)が、「この2年ほどの間に、書類上の勤務時間数を少なく書き換えるように求められたことがある」と答えた。

記者会見で内田教授は「(学校現場で)時間管理はほとんど機能せず、気分で簡単に勤務時間を過少申告できてしまう。法的な拘束力を高めるため、給特法の改正を求めたい」と話した。

〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉

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