季節の変わり目には、衣替えや寝具の入れ替えが欠かせません。この機会に身辺の大掃除を試みる方も多いのではないでしょうか。
ところで皆さんは、使用済みのお茶の葉(茶がら)が掃除に役立つことを知っていますか?
お茶の教室も開いている大森園株式会社(北海道札幌市)の代表取締役・大森由美子さん(日本茶インストラクター・リーダー)に、使い終わったお茶の葉の活用法を伺いました。
緑茶を飲み終えたあとの茶がらを掃除に使うのは、一般的に行われていたことなのでしょうか?
「畳の部屋が多かった昔の民家では、ホコリを取りやすくするために、茶がらを撒いてからほうきで掃くというお掃除方法が一般的に行われていました。これが行われなくなったのは和室が減少したことと、電気掃除機が普及したためです」(大森さん)
緑茶に何か特別な成分があるから、お掃除に役立っていたのですか?
「その通りです。緑茶には多くの成分が含まれますが、カテキン(渋み)、カフェイン(苦味)、アミノ酸(うま味)が三大成分になります。
このうちカテキンには、抗酸化、抗突然変異、血中コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制、血糖上昇抑制、抗菌、抗ウイルス、消臭などの効果があります。体にいい成分はお茶を飲むことで摂取し、抗菌、抗ウイルス、消臭などの成分はお掃除に使うのが、昔の人の生活の知恵だったのです」(大森さん)
単に畳を濡らしてホコリを取るだけではなかったのですね。ほうきで掃く以外には、どんな使い方がありますか?
「茶がらを使ってシンクの汚れを落とす方法をご紹介しましょう。手順は次の通りです」(大森さん)
(1)茶がらを未使用の出汁パックに入れる
(2)これでシンクをキュキュっと磨く
(3)使用後はそのまま生ごみとして捨てる
「シンクの汚れが落ちるだけでなく、カテキンの抗菌作用で除菌することもできるのです。しかも手荒れの心配がありません。茶がらはバラバラになって捨てにくいものですが、あらかじめ包んであると簡単に捨てられます」(大森さん)
シンク以外でも、汚れ落としで使える場所はありますか?
「フローリングの床磨きにも適しています。
不要になったタオルなどに、濡れたままの茶がらを包んで絞ります。それで床を磨いてください。床のお掃除をしながら、除菌や消臭を兼ねることができます。化学薬品ではないので、赤ちゃんがハイハイしても安心です」(大森さん)
紅茶やほうじ茶ではなく、緑茶がいいのですか?
「紅茶は茶葉を摘んだあとに発酵させる過程で緑茶カテキンが紅茶カテキンに変化し、ほうじ茶は高熱で焙煎する過程によってカテキンが変化・減少します。
一方、緑茶は摘んですぐに蒸し、発酵を止めるので緑茶にしか含まれていない「エピガロカテキンガレート」など、殺菌効果の高いカテキンがそのまま残るのです。
ちなみに茶葉は日光に当たることによってカテキンが増えるので、煎茶の中では新茶より二番茶(6月頃に摘むお茶)のほうが、カテキンが多くなります」(大森さん)
新茶の季節が過ぎると、やがて二番茶の季節が始まります。カテキンを多く含むこれからのお茶を、飲み終わったら捨てるのはもったいないですね。ぜひ、お掃除に活用してみませんか。
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