いったん、しおりを挟みますーー。
三省堂書店の神保町本店のビルに4月25日、そんなメッセージが記された巨大な「しおり」が掲げられた。
本の街として知られる東京・神保町で、40年にわたり愛されてきた本店の建て替えにあたって出されたもの。
3年後に再び同じ場所で営業する「第二章」に向けた思いを、しおりに込めたという。本屋らしいメッセージに、SNSで反響が広がっている。
三省堂書店によると、神保町本店は1981年3月、千代田区神田神保町一丁目一番に創業100周年記念事業として建てられた。1階から6階まであり、蔵書はおよそ140万冊に及ぶ。
「本の街」として知られる神保町の中心的な存在として、本好きの人たちから愛されてきた。
だが老朽化が進んだことから建て替えることとなり、5月8日に一時閉店することに。2025年に再び同じ場所で営業を始める予定だという。
2025年に新店舗ができるまでは、6月1日から近くにある仮店舗(千代田区神田小川町2-5)で営業する。
しおりは横幅およそ7メートル、高さ13メートルの巨大な懸垂幕。
一時閉店はビルの老朽化が一番の理由だが、同社は「100年先、200年先に書店という文化を残していくための挑戦」とも位置付けているという。
懸垂幕と同じデザインのしおりも作って配布しており、その裏面にはこんなメッセージを記した。
あたらしい出会いをくれる場所。つまらない毎日から抜け出せる場所。待ち合わせにちょうどいい場所。世界のかたちが見える場所。それぞれにとって意味があり、それぞれにとって心地いい。書店は、そんな場所だと思います。
100年先も、200年先も、書店という文化を残していきたい。神保町本店はこの度、建て替えのため、一時閉店いたします。未来に書店を残すため、現状維持よりも、挑戦を選びます。もっとたくさんの人が、本と出会い、本を楽しめる場所に、生まれ変わってみせる。神保町本店の第二章に、どうぞご期待ください。
しおりに込められたメッセージに対し、SNSでは「本屋さんらしい、いい表現」「続きが楽しみ」「第二章を待つ」と今後を期待する声や、専門書や参考書を買い求めた学生時代を思い出して「お世話になりました」と感謝する声も多数寄せられた。
しおりの企画に関わった経営企画担当の関和一樹さんは反響について「非常に嬉しいです。長年この地でやってきて、皆さんに愛されているということを感じました」と話した。
「昔よく通っていた」と思い出す人が多数いたことが印象に残ったといい、「皆さんの記憶に残っていたんだなと感じました」と語った。
近年は各地で書店の閉店が相次ぎ、寂しい思いをする人もいる。だが今回の一時閉店は、建て替えをきっかけにした「前向きな挑戦」だということを、伝えたかったという。
神保町本店では、一時閉店に合わせて、利用者に記入してもらった思い出のメッセージを掲示するコーナーや、著名作家が神保町本店のために選んだ書籍を紹介するフェアなども展開している。
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「いったん、しおりを挟みます」三省堂書店が神保町本店に掲げたメッセージに反響続出「続きはこれから」