東京弁護士会(東弁)は3月10日、海外にルーツを持つ人を対象にした職務質問に関する調査結果(速報版)を発表した。
過去5年ほどの間に職務質問を受けたことがあると回答した人のうち、76.9%が「外国人または外国にルーツを持つ人である」こと以外に警察官から声をかけられる理由はなかったと認識していると答えた。
警察などの法執行機関が、人種や肌の色、民族、国籍、言語、宗教といった特定の属性であることを根拠に、個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることは「レイシャル・プロファイリング(Racial Profiling)」と呼ばれる。
日本のレイシャル・プロファイリングを巡っては、アメリカ大使館が2021年12月、「レイシャル・プロファイリングが疑われる事案で、外国人が日本の警察から職務質問を受けたという報告があった」として、日本で暮らす同国民にSNS上で警告を出した。
人種差別的な職務質問に関するハフポスト日本版のアンケートには、海外にルーツのある329人が、人権侵害だと思ったり嫌だと感じたりした体験を寄せている。
東弁の調査結果からも、法律上の要件を満たさず、差別的で不当な職務質問が常態化している恐れがあることが明らかになった。
東弁は2022年1〜2月、ネット上のアンケートフォームで、日本に在住する外国ルーツの人を対象に職務質問の経験などを尋ねた。日本語、英語、ベトナム語など5カ国語を用意していた。
速報結果によると、有効回答数は2094人。国籍別(複数回答)ではアメリカ32%、その他16.4%、日本16%、イギリス9.6%の順で多かった。
過去5年間くらいで、警察官から声をかけられたことがあるかを問う質問で、「はい」は62.9%、「いいえ」は37.1%だった。
職務質問の回数別では「1回」が25.6%、「2〜5回程度」が50.4%で、「6〜9回程度」または「10回以上」は計22.3%に上った。
「声をかけてきた警察官は、最初からあなたのことを外国にルーツを持つ人だと分かっていたと思うか」との質問に、85.4%が「はい」と答えた。
職務質問を受けた人のうち、70.3%が警察官の質問・態度で気分を悪くした経験があると回答した。
職務質問の根拠となる「警察官職務執行法」(警職法)は、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断」し、犯罪を犯しているまたは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由がある場合に、相手を停止させて質問をすることができると定めている。
一方、今回の調査では、職務質問の際に「外国人または外国にルーツを持つ人である」こと以外に警察官から声をかけられる理由があったと思うかを尋ねた質問に、76.9%が「いいえ」と回答。「はい」は14.6%だった。
調査を担当した宮下萌弁護士は、職質の経験が複数回あるとの回答が多かったことに触れ、「海外にルーツがあることで、警察官から“犯罪者予備軍”とみなされやすいことが調査から分かった」と指摘する。
東弁は、国籍や民族別の傾向など調査結果の詳しい分析を2022年夏頃をめどにまとめる方針。調査結果を踏まえ、警察庁への申し入れを検討しているという。
(國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)
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