人権を守ることと、企業の存続が「矛盾しない」ためには何が必要か。外国人技能実習制度からSDGsを考えます【ライブ配信】

中学受験の難関校で「男子御三家」として有名な麻布中学の2022年度の入試問題が、SNSなどで話題になりました。

社会科目の全ての設問で、日本に暮らす「外国人」など、国境を越えた人の移動について問われたのです。

小学生が解いたこの問題、あなたならどう答えますか?

2月のハフライブでは、外国人技能実習生を入り口に、「日本で働く『外国人』と2030年の日本社会」について考えます。

私たちが今日食べた野菜や魚も、着ている洋服も、住んでいる家やオフィスの建築もーー。実は暮らしや仕事に、深く関わっている技能実習生。

日本の少子高齢化に伴う深刻な人手不足を背景に、技能実習生が欠かせない存在になっている産業もあります。その一方で、暴行や妊娠・出産の制限、賃金の未払いなど様々な問題が指摘され続けています。

人権の保障も、国や人種間の平等も、経済成長も、同時に目指すのがSDGs。ビジネスが、個人が、そして何より政治がやるべきことは何か。人権とビジネスのジレンマを可視化しながら、2030年の日本社会をどうしていきたいか、話し合います。

<番組概要>

番組は無料です。時間になったら自動的に番組が始まります。

配信日時:2月28日(月)夜9時~配信(60分)

配信URL: YouTube
https://youtu.be/WWTLEgR4B0A

配信URL: Twitter(ハフポストSDGsアカウントのトップから)
https://twitter.com/i/broadcasts/1YqJDqDqjPExV

「現代の奴隷制度」の上で私たちの生活は成り立っている

2022年1月、岡山県の建設会社で働くベトナム人男性の技能実習生が2年以上に渡って暴行を受けていたことが動画とともに公表され、大きく報道されました。

2020年には熊本県の農家で技能実習生として働いていたリンさんが、強制帰国を恐れ、妊娠を周囲に相談することができないまま双子を妊娠、死産。2021年7月に熊本地裁で、2022年1月に福岡高裁で死体遺棄罪に問われ有罪判決を受けたことに、支援する弁護士は「被害者を加害者として処罰する判決だ」と憤りをあらわにしました。

ハフライブ一人目のゲスト、国士舘大学の鈴木江理子教授(移民政策)は、技能実習制度は「国際社会から『現代の奴隷制』と批判されている」と指摘します。

「多くの技能実習生は来日するために多額の借金をしています。そのため、低賃金で過酷な労働を強いられても、暴力をうけても、我慢せざるをえない状況に追い込まれています」

鈴木さんは、制度に問題があるとわかりながらも、技能実習生に頼らざるをえない状態を「まるで麻薬のよう」と指摘します。

「誰かの権利を侵害するような制度を続けることは間違っています。都合のいい労働力に頼り、その恩恵を受けている社会全体の“共犯関係”に気づき、覚悟をもって変えていく必要があります。将来を見据えてどのように移行していくか考えなければなりません」

SDGsの目標年である2030年、そして50年先、100年先の日本と世界を見据え、私たちはそれぞれの立場で何をすべきなのでしょうか。

人権を守るために「適正価格」に値上げしてもいい?

一方で、実習生の人権を守ることと企業活動を両立しようと、取り組む企業もあります。

番組前半では、繊維メーカー兼商社の「帝人フロンティア」で営業とサステナビリティ推進を兼任する曽根勝周平さんにもご出演いただきます。

曽根勝さんはある時、自社の商品を作るサプライチェーン上の工場で働く技能実習生が、送り出し機関から徴収される「手数料」を払うための多額の借金の返済に苦しんでいることを知りました。

「こんな辛い思いをして働いている人がいることで、自分の仕事の取引が上手くいったって…こんなんじゃだめだと思ったんです」

そこで、借金となっている「手数料」を、通常企業が採用活動する時に発生する「リクルートフィー」と捉えて肩代わりする仕組みづくりを、当時の上司と一緒に始めたといいます。

こうした帝人フロンティアの思い切った取り組みを後押ししたのは、取引先のグローバル企業でした。

欧米では、「人権リスク」を「経営リスク」と捉え、人権侵害のリスクがある企業との取引を中止する動きも加速しているからです。

「個人の思いだけでは企業は動けません。取引先のグローバル企業から人権配慮に対するいい意味でのプレッシャーがあり、やらなければと社内や現場の理解も進んで実現した取り組みです」

外国人に限らず、劣悪な労働環境で働く人たちの人権を守る必要があります。そのための実態調査や労働環境の改善には「お金」がかかる現実にも向き合わなければなりません。

末端の零細企業や中小企業にばかりにそのしわ寄せがいくようでは、サステナブルとはいえません。例えば人権を守るために商品の値段が「適正価格」に値上げすることになったとしたら、私たち消費者は許容できるでしょうか。あるいは、産業ロボットやAIなどのテクノロジーがもっと進化すれば、価格維持と人権保護の両立を目指せるのでしょうか。

企業が生き残ることと、人権を守ることが「矛盾しない」ためには何が必要か、ハフライブで考えます。

やって来るのは「労働力」ではなく「人間」

もう一人のゲストは、ベトナム出身の岡山大学大学院2年生、ホアン・ゴック・ビックチャンさんです。ビックチャンさんは大学院で日本語教育などを学びながら、技能実習生たちに日本語習得の支援や地域との交流の機会を提供する支援グループ「SHARE&CHILL!」を立ち上げました。

「大学生の時、司法通訳のアルバイトを通して多くの技能実習生たちに会いました。実習生たちが、日本語習得や地域とのコミュニケーションの機会がないと悩んでいると知って、SHARE&CHILL!の活動を始めたんです」

日本語が話せないことや、地域との交流がなく実習先の閉じられたコミュニティにいることは、孤独を感じたり、理不尽な扱いを受けても相談したり声を上げづらい状況になったりする可能性が高くなります。

そこでビックチャンさんはSHARE&CHILL!の活動の一環として、岡山の高校生と技能実習生との交流会を開催したことも。その高校のすぐ裏には、約100人もの技能実習生たちが働く大きな会社があるにも関わらず、ほとんどの高校生が技能実習生たちのことを知らなかったそうです。

「将来は教育を通じてベトナムと日本の架け橋になりたい」というビックチャンさん。「労働力」ではなく同じ日本社会で暮らす「人間」として、「生活者」として外国にルーツを持つ人々と共生するためにできることは何か、考えます。

<番組概要>

番組は無料です。時間になったら自動的に番組が始まります。

配信日時:2月28日(月)夜9時~配信(60分)

配信URL: YouTube
https://youtu.be/WWTLEgR4B0A

配信URL: Twitter(ハフポストSDGsアカウントのトップから)
https://twitter.com/i/broadcasts/1YqJDqDqjPExV

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Maya Nakata