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同性パートナーとの暮らし、コロナ禍で感じた不安。東京都にパートナーシップ制度を求めた当事者の思い

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山本そよかさん(左)とパートナーのヨリコさん

2021年12月、東京都の小池百合子知事は同性カップルの関係を公的に認める「パートナーシップ制度」を2022年度中に導入することを表明した。

日本では「同性婚」が認められていないため婚姻のような法的効力を持たないが、こうした制度がある自治体では同性カップルも家族として一部のサービスや福利厚生を受けられる。全国で150以上の市区町村や府県がすでに導入している。

山本そよかさんは「東京都にパートナーシップ制度を求める会」の代表として、小池都知事に要望書や1万人筆以上の署名を渡した他、都議会にも請願を提出。請願はその後、全会一致で趣旨採択された。

アクションを起こしたきっかけにはコロナ禍でパートナーと暮らす中での不安があったという山本さん。その背景や、これから東京都に求めるものを聞いた。

「東京都にパートナーシップ制度を求める会」山本そよかさん

10年来のパートナーと暮らしています。私のベストフレンド、仲間、同志でもあって、人生を豊かにしてくれる家族です。

辛いことは2分の1になるし、喜びは2倍になる。お互いを大切に思って、愛を分かち合う人がそばにいるのが幸せな私の毎日です。

コロナ禍になって一緒に買い物やご飯、家でのことを大切にする時間が増えた一方で、2人のことは社会から家族として認められていない矛盾を余計に感じていました。そして大きな不安も募っていました。

もしも自分やパートナーが感染してしまったら。

家族であれば入院先の病院から説明を受けたり、面会ができたりするかもしれない。それが、もしも同性同士であることを理由に何もできなかったら。

最期に立ち会えないまま、コロナで家族が亡くなった方の話も聞きました。最も辛い状況で、これまで過ごした人生や、築いてきた家族関係までも否定されるのは耐え難いものだろうと涙が止まりませんでした。

あまり想像することのなかった、私たちの関係性が社会に認められないことによる困り事が目の前に迫って、早くどうにかしなくてはいけないと感じるようになりました。

2020年の年末、性的マイノリティの友人カップルたちと集まってささやかなクリスマス会をしました。楽しい会のはずでしたが、そこでもお互いが不安に感じていることが話題になりました。

東京都が何かやってくれないかという話になった時、「じゃあ私がやる」といいました。

私にはできるんじゃないかという気持ちがたくさんあったのです。

東京都では五輪にむけて2018年にあらゆる差別を禁止する内容の条例が制定されていました。制度導入に前向きな方が多数いることも分かっていました。でもなかなか進まない理由が何らかあった。この問題に対して、当事者として、見える形で行動をしようと思いました。

以前から繋がっていた都議会の議員の方にメッセージが送れる状態だったので、請願を出したいことと、オンライン署名活動を始めたいことを連絡しました。そこから東京都にパートナーシップ制度を求める活動が始まりました。

「これでもいいんだ」と思えるようになるまで

初めて女の子を好きになったのは10代のころ。

やんちゃで、活発。誰とでも仲良くできるサッカー好きな子どもでした。それが「同性を好きになる」と感じ始めてから、自分に対する自信を失ってしまいました。

自分が間違っているかもしれない。周りに合わせようと、嘘を重ねていきました。恋愛のことだけでなく、みんなが好きなものを自分も好きでなければいけない。そういう感覚に陥っていました。

友達に気持ち悪いと思われたら嫌でしたし、自分で自分のことが気持ち悪いとも思っていました。好かれたいけど、自分をそのために否定しなくてはいけないと思い込み、自分の気持ちはどんどん弱くなっていきました。

大学でアメリカへ留学した時、色々な人たちが当たり前に尊重し合って生活している環境を目の当たりにし、感動しました。

色々な背景を持つ人、その中にはゲイであることをオープンにしている人もいる。「私は私でいいんだ」と思うようになりました。

嘘をつかなくてよくなって、生きやすくなり、人と深く関わるようになり、生きることが楽しくなりました。この体験が今の活動の動力になっていると思います。

「同性パートナーも家族」を当たり前に

要望書と署名を提出した「東京都にパートナーシップ制度を求める会」らと、受け取った小池百合子都知事=2021年3月撮影、東京都庁

東京都でパートナーシップ制度が2022年度に導入されることとなり、とても嬉しいです。

「同性パートナーも家族」。それが当たり前の認識として、現状では足りない部分を埋めていける丁寧な制度づくりに取り組んでいただきたいです。

求めるのは、都が証明書を発行することだけではありません。

1400万人の人口を抱え、日本全国、また世界中の方々がやってくる東京都が提供するサービスにおいて、同性パートナーも家族として問題なく扱われること。17万人以上といわれる都職員の待遇や働きやすさもやっと改善されていくと思います。

都内の事業者への周知や連携を通して、細かいところに根付いてしまっている性的マイノリティに対する誤った認識も変えていく機会になると期待しています。

また、日本では自身のSOGI(性的指向や性自認)を知らない人に公表されて不安になる人も少なくありません。

差別的な対応がなされない規定はもちろん、必要以上のアウティング(性のあり方を本人の同意なく暴露すること)が起きないよう、安心できる環境作りをしてほしいと思っています。

同性カップルは家族なのだという認識を、東京都からしっかりと示してほしいです。

同性婚を押すの「声」 

国が同性婚の議論や法整備を進めない間、東京都の渋谷区と世田谷区が2015年に全国で初めて同性パートナーシップ制度を導入し、企業や日本全国各地の自治体も当事者の声に耳を傾けています。各自治体が独自にパートナーシップ制度を作るなど、できることを精一杯やってくれています。

そして首都である東京都も動いた。では国は?と首をかしげざるを得ません。

この数年で状況がかなり変わってきたと思います。2021年は札幌地裁の判決で、「同性婚を認めないのは憲法違反」という判断が出されました。2020年に発表された全国調査では6割以上が同性婚に賛成しています。

パートナーシップ制度は同性婚を押す「声」でもあります。各地の自治体で制度の実現を目指す活動、そして制度があること自体が社会の認識を深めていくことに繋がる。国にも「同性婚をやってくださいね」という説得材料にもなると思っています。

東京都のパートナーシップ制度導入のニュースに対する反応の多くも、「早く国が同性婚を実現させてほしい」という声でした。

同じような取り組みが全国各地でも進んでいますし、声をあげれば変わるという希望を感じられます。まだ同性婚が実現されるまでに至っていませんが、世の中が動いているという体感があります。

動かしているのは、活動をしている当事者や支援者たちの力です。渋谷区や世田谷区の7年後に、ようやく東京都も変わる。日本でもLGBTQという言葉や認識が浸透してきた感覚があります。

この国では今、多くのLGBTQ当事者が歯がゆい気持ちでいると思います。自分たちの人権が守られていなくて、漠然とした不安を抱えている。生活のいたるところで我慢をするところがあって、周りからの言動に傷つけられないように生きています。

私は自分の困り事を解決する過程で、みんなも幸せにできるように行動していきたいと思っています。これだけハッピーな生き方もあるのだということを、自分の人生をもって体現していくことで、社会に良い影響を与えていきたいです。

戦い続けながらだけど、職場や家族にカミングアウトして、自分を肯定して、社会で幸せに生きていけています。私の幼少期とは全く違う状況です。

LGBTQの権利がなかなか向上していない世界のほかの地域にも、私たちの活動が足掛かりになり、良い例として知ってもらい、力にしてもらえたらとも思っています。

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同性パートナーとの暮らし、コロナ禍で感じた不安。東京都にパートナーシップ制度を求めた当事者の思い

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