Appleは毎年、様々なカラーリングのiPhoneを発表しますが、中でも赤いiPhoneのカラーは“(PRODUCT)RED”と呼ばれます。
この(PRODUCT)REDのiPhoneを購入すると、金額の一部がグローバルファンドに寄付されていることは有名な話です。しかし、なぜこのiPhoneの色が(PRODUCT)REDと呼ばれるのでしょうか?
*Category:テクノロジー Technology|*Source:Apple Explained ,Wikipedia
iPhoneにはさまざまな色がありますが、赤いモデルだけは背面に(PRODUCT)REDと印字されています。これは、Appleが2006年から行っている慈善団体とのパートナーシップによるものです。
この団体は、歌手のボノと活動家のボビー・シュライバーが共同で設立した「Product Red」と呼ばれるものです。この団体の目的は、アフリカの8つの国でHIV/AIDSを撲滅するために、民間企業から資金を集めることにあります。
企業は、特定の製品を販売して得た利益の一部を寄付することで、Product Redと提携することができます。Appleは2006年にRedと初めてパートナーシップを結び、iPod nanoで開始しました。
この際、対象となるのは赤のモデルだけだったので、対象のiPod nanoの背面にはProduct Redのロゴが入っていました。当時Appleは、1台のiPod nanoが売れるごとに10ドルが寄付されるとしています。
現在、(PRODUCT)REDの製品一台あたり、Appleがいくら寄付されているかは公開されていません。しかし、2006年にこのパートナーシップが始まって以来、Appleは2億7,000万ドル以上を寄付しており、これは決して小さな金額ではありません。
Appleの(PRODUCT)REDアイテムとして最も人気があるのはiPhoneですが、それだけではありません。(PRODUCT)REDのロゴが入ったiPhoneケースや、バンド部分にロゴが入った赤いApple Watch、赤いiPod touch、赤いBeatsヘッドフォン、赤いBeatsポータブルスピーカーなどがあります。
製品に(PRODUCT)REDと印字されることは、慈善団体として非常に重要なことです。例えば、知らずに赤いiPhoneを購入した人は、背面にある(PRODUCT)REDの文字を疑問に思って調べるかもしれません。そして、その答えを求めて、Product Redという団体にたどり着けば、同団体はテレビ広告や看板にお金をかけずに認知度を高めることができます。
もちろん、Appleにとってのメリットもあります。Appleが「赤い製品」で善意の寄付をしていることがわかれば、ポジティブな印象を与えることができます。
もう一つの大きなメリットは「顧客に再び同じ製品を購入する理由を与えることができる」という点です。もし誰かが、(PRODUCT)REDのiPhoneを購入し、寄付に関与したことを誇り感じれば、慈善団体と提携していない競合他社からスマホを購入する可能性は低くなるでしょう。小さな積み重ねですが、こうして生まれたAppleファンは非常に大きな存在となります。
Product Redとコラボした製品は、Appleだけでなく、アパレルブランドであるNikeやカメラメーカーのキヤノン、競合であるモトローラからも登場しています。しかし現在“(PRODUCT)RED”と言われれば、最初にiPhoneを思い浮かべる人は多いでしょう。このことからも、Appleは単なる慈善事業ではなく、自社のブランディングとしても見事に成功させていることが伺えます。
オリジナルサイトで読む : AppBank
赤いiPhoneに(PRODUCT)REDの刻印がある理由。Appleがライバルに勝つ巧妙な戦略とは?