第207臨時国会が12月21日、16日間の会期を終えて閉会した。
文書通信交通滞在費(文通費)の問題を巡る法改正は見送られた。
問題が浮上したきっかけは、衆院選で初当選した日本維新の会の小野泰輔衆院議員が投稿サイトに掲載した文章だった。
10月は31日の1日しか任期がなかったのに、文通費は1カ月分の満額100万円が支給されたと明らかにした。
それからSNSなどインターネット上で批判が相次ぎ、自民党の茂木敏充幹事長は11月16日の記者会見で「全額支給されることは違和感がある」と指摘した。
しかし、変わらなかった。なぜか。
それは、与党が日割り支給への変更を優先すべきだと主張したのに対し、野党は日割り支給だけではなく領収書添付による使途公開なども求め、最後まで折り合えなかったからだ。
では、与党が日割り法案を出して採決すれば良かったのではないかとの意見があるが、国会議員の待遇に関することは「全会一致」が原則との慣例があり、それが障壁となった。
電話代や郵便代、交通費などの名目で国会議員に支給されている毎月100万円の文通費は、税金がかからないし、何に使ったか公開する必要もない。つまり、国会議員にとって非常に使い勝手のいいお金だ。
しかし、もとは国民の税金である。在職1日で満額100万円はやはりおかしい。臨時国会で法改正できなかった政治的責任は軽くない。
2022年の年明けから始まる通常国会でどういう対応を取るのか。小野氏が自身の文章に「国会の常識、世間の非常識」とタイトルを付けた通り、世論とのズレが浮き彫りになった臨時国会だった。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「文通費」法改正できずに臨時国会が閉幕。浮き彫りになった世論とのズレ