東京都武蔵野市で、外国籍の住民にも日本国籍の住民と実質同じ条件で参加を認める住民投票の条例案が12月13日、市議会の総務委員会で可決された。21日の本会議で審議される予定。
条例に基づく住民投票のため、法的拘束力はないが、外国人への参政権といった観点から国会議員が「国益を損なう」と言及するなど、動向に注目が集まる。
制定されれば、国内で3例目。先例の神奈川県逗子市、大阪府豊中市では条例の施行後、どんな変化があったのだろうか。
武蔵野市では、年齢や性などによらず生きやすい街づくりを目指そうと、松下玲子市長が条例を提案した。
施行されると、3か月以上、市内に住所がある18歳以上の市民に投票資格が与えられ、実質、外国籍の住民も日本国籍の人と同じ要件で住民投票に参加できることになる。
市は「住民投票は意見の表明という側面が強く、請願に近いと言えると思う。あくまで参政権とは異なるが、より良いまちづくりのために必要」と説明する。
武蔵野市によると、同市の条例案と同様に外国籍の住民に投票資格を認めるのは、常設の住民投票条例がある全国78自治体のうち、2020年12月時点で43自治体。
要件を日本国籍の住民と実質的に同じとしているのは神奈川県逗子市と大阪府豊中市の2市だ。
制定に反対の声も上がるこの条例。先例の2市ではどんな狙いで条例を施行し、その後どんな変化が起きているのか。
神奈川県逗子市は、市政の重要事項について、市民の意見を聞く狙いで2006年に施行された。
市民協働課は「当時の市議会の議事録を見ると、外国人の方が含まれることについて、一切議論になっていません」と話す。「市民のための制度ですから、当然、外国人の方も当たり前にいるということで、争点にはならなかったんです」と説明する。
豊中市は2009年、自治体の主体である市民に、年齢や性別、国籍などさまざまな個性を活かして自治体を作ってほしいとの思いで条例を施行した。
制定当時、さまざまな年代や国籍の市民を交え、10回以上の検討会を開き、制定にこぎつけたという。
逗子市も豊中市も、制度が始まって10年以上が経ったが、これまでに住民投票は実施されていない。
また2自治体とも、日本全体での増加に伴い、外国人人口は増えているものの、条例制定後に外国籍の住民の割合が顕著に増加するといった変化はないという。
両市とも、条例の制定に対してこれまで大きな抗議活動はなかったが、武蔵野市の条例制定に向けた報道を受け、最近は全国からさまざまな意見が寄せられているという。
逗子市の市民協働課は「いろんな意見を受け止めつつ、外国人か日本人かは問わず、市民が生活しやすい自治体を目指していきます」と話す。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
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