タランティーノ監督を映画会社が提訴。パルプ・フィクションのNFT販売に「著作権侵害」と主張、どういうこと?

クエンティン・タランティーノ監督が発表した映画『パルプ・フィクション』のNFT販売に、「ちょっと待った」。

同作を制作したミラマックスが11月16日、NFT(非代替性トークン)販売を巡ってタランティーノ氏を提訴した。

ミラマックスはタランティーノ氏の行為が著作権侵害であると主張し、販売停止を求めている。

NFTとは? タランティーノ氏「非常にワクワクしている」

『パルプ・フィクション』は、1994年のタランティーノ氏監督作品だ。 同氏の名を世に知らしめた映画であり、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞では7部門にノミネートされて脚本賞を受賞している。

タランティーノ氏は11月初めに、この作品の7つのNFTを、オークションにかけると発表した。

NFT(非代替性トークン)は、は、ブロックチェーン技術を使ってデジタル資産の所有者の権利を明確にするもの。

例えば、デジタルアート作品、動画、音楽など、あらゆる種類のデジタルコンテンツが対象となりうる。

ブロックチェーン技術を使って、誰のものか明らかにするため「署名」をつける。所有者が誰かわかるNFTにより、複製できるデジタル上のコンテンツでも、固有の価値を作り、販売することができるようになった。

パルプ・フィクションのNFTは購入者だけが見られ、手書きの台本やタランティーノ氏の音声解説なども含まれるという。

タランティーノ氏はNFT販売について「パルプ・フィクションの特別なシーンをファンに提供でき、非常にワクワクしている」と述べた。

NFT販売の権利は誰にある?

しかしこの計画を、ミラマックス側は著作権侵害と捉えた。

同社は、タランティーノ氏のNFT販売が「契約違反」だとして販売停止の通告書を送り、その後に提訴した。

ミラマックスは裁判文書で、「ミラマックスは自社の代表作の権利を保護するために、提訴を余儀なくされた」と主張

さらに「タランティーノ氏の行動は、(NFT販売に)ミラマックスが関わっているかのような誤解を与えるもので、ミラマックスが開発やマーケティング、NFT販売の権利を所持する作品について、同様の取引ができるかのような誤解を与える」と述べて、タランティーノ氏に、NFT販売と著作権侵害にあたる行為の禁止を求めた。

一方、タランティーノ氏の弁護士は、NFTの販売は契約書で定められたタランティーノ氏の権利、中でも「脚本の発表」に含まれると主張している。

NFTは近年ハリウッドでもトレンドになっており、バイアコムCBSワーナーブラザーズなどの大手メディアが次々と参入している。

NFTは、90年代初めには映画制作会社が想定していなかった技術だ。脚本をベースにしたNFTの権利は監督にあるのか制作会社にあるのか。注目が集まることになりそうだ。

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タランティーノ監督を映画会社が提訴。パルプ・フィクションのNFT販売に「著作権侵害」と主張、どういうこと?

Satoko Yasuda