河野太郎氏とは?なぜ「自民党の異端児」「ブロック太郎」と呼ばれるのか【総裁選・決選投票】

「新総裁にふさわしい」国民支持トップ。政治家としての歩みは

自民党総裁選に立候補した河野太郎・規制改革担当大臣。ともに総裁の座を争う、岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務大臣、野田聖子・幹事長代行の中で、最も若い58歳だ。

朝日新聞が総裁選告示前の9月11、12日に実施した世論調査によれば、新総裁にだれがふさわしいかたずねたところ、河野氏はトップの33%。自身のTwitterアカウントは242.7万人のフォロワーを持ち(2021年9月29日現在)、「国民人気」の高い政治家とされる。そんな河野氏はどんな人物なのか。

河野氏は1963年生まれ。祖父に河野一郎・元建設大臣、父に河野洋平・元衆院議長を持ち、曽祖父の河野治平氏も神奈川県議会議長を務めたという政治家一家に生まれた。

1996年に衆院議員に初当選。「政治家」が身近だったとはいえ、なぜなろうと思ったのか。

9月に出版した自著「日本を前に進める」では、アメリカのジョージタウン大学に入学した際のエピソードを紹介。日本の新聞には、一面、スポーツ面、芸能面とアメリカの話題が掲載されているのに、ワシントン・ポスト紙には「JAPAN」の文字を見つけることができない−−。 

「この格差は何だろう、何かしなければいけないのではないか、とこのとき思ったことが、政治を志した最初のきっかけではなかったかと思います」とつづっている。

政治家としてのキャリアも順調に歩む。第2次安倍政権で行政改革大臣として初入閣すると、外務大臣や防衛大臣を歴任し、菅政権でも規制改革担当大臣に就任した。

防衛大臣時代には陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備断念を決定。現在は行政改革の担当として「脱ハンコ」を進めたほか、ワクチン接種の調整担当も務めた。

箱根駅伝出場を目指し中学から競走部に入部するなど、マラソンが得意。酒は飲まず、肝性脳症を患った父への生体肝移植のドナーになったことをきっかけに1日1万歩を歩く。

脱原発、女系天皇……「自民党の異端児」と呼ばれた理由

河野太郎氏が「異端児」と呼ばれる理由。それは、歯に衣着せぬ物言いで持論を主張してきたからだ。

その一つが、「脱原発」。原発を推進してきた自民党で「脱原発」を訴えてきたことで、たびたび発言が波紋を呼んだ。2011年の東日本大震災後には、当時俳優だったれいわ新撰組の山本太郎代表と「脱原発」をテーマに対談したこともある。

「皇位継承問題」についても同様だ。保守政党である自民党内には、男系男子によって皇位が継承されてきた伝統を重んじる議員が多い。そんな中河野氏は、母方だけに天皇の血をひく「女系天皇」について、「女系天皇も含めて国民が議論すべき」などと主張し、物議を醸したこともある。

だが、河野氏は今回の総裁選でこれらの持論を「封印」。

脱原発をめぐっては、総裁選への立候補を表明した際の会見で、「いずれ原子力がゼロになるだろうと思う」としつつも、原発再稼働を容認する考えを示した。女系天皇をめぐっても、「126代続いている日本の伝統を次の世代に受け継ぐのは非常に重要だ」と述べ、女系天皇についての賛否は明言しなかった

「ブロック太郎」と揶揄。記者の質問に答えず「次の質問どうぞ」を連発したことも

国民からの人気が高く、情報発信力もある。そして、歯に衣着せぬ発言ができる改革派ーー。

そんな評価もある河野氏だが、異論や批判、そして都合の悪い質問に向き合う姿勢に疑問も浮かぶ。

フォロワー数242.7万人を超えるTwitterの運用をめぐり、河野氏は他のアカウントに対するブロック機能を多用。そのため、SNS上では「ブロック太郎」とも揶揄されている。

ブロック行為をめぐっては、ブロックしたアカウントのツイートは自身のタイムラインに表示されなくなるため、批判や国民の声に耳を傾けない行為ではないかといった指摘があるが、河野氏は「通りすがりに見知らぬ人を罵倒するということはやらないと思うが、SNS上ではそういうことがかなり頻繁に起きている」などと主張し、ブロック機能を使うことは「問題はない」との見解を示している

日本とロシアの間にいまなお横たわる「北方領土問題」について交渉を担っていた外務大臣時代も、会見で記者からロシア側の発言に対する見解を問われた際、質問に答えずに「次の質問どうぞ」を連発。

「そういう答弁は適切ではないのではないか」との記者からの問いにも、「交渉に向けての環境をしっかりと整えたい」としか答えなかった

総裁選に勝利した場合、自身の発信力だけではなく、異論に耳を傾け、説明する姿勢もこれまで以上に問われることになる。

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Source: ハフィントンポスト
河野太郎氏とは?なぜ「自民党の異端児」「ブロック太郎」と呼ばれるのか【総裁選・決選投票】

Yuka Takeshita