なぜくしゃみをするときには目を閉じてしまうのか？

鼻がむずむずした後などに「ハクションっ！」と出てくる強い呼気がくしゃみです。「人はなぜくしゃみをするのか？」「なぜくしゃみをするときに目を閉じてしまうのか？」「くしゃみをすると、なぜ音が出るのか？」といった疑問について、パデュー大学看護学のメグ・ソルグ助教授が解説しています。

A pediatric nurse explains the science of sneezing
https://theconversation.com/a-pediatric-nurse-explains-the-science-of-sneezing-160970

ソルグ助教授によると、くしゃみは人だけでなくゾウやパンダ、アザラシなどの多くの動物にも起こる、肺の中の空気を鼻や口から強制的に吐き出すときに生じる生理現象とのこと。なお、自分のくしゃみに驚くゾウの子どもはこんな感じ。

Baby elephant sneezes and scares himself. – YouTube

ほとんどの場合、くしゃみはウイルスや細菌などの病原性がある物質や、アレルゲンや化学物質などの刺激物が鼻孔に入った際に生じます。くしゃみはウイルスや化学物質などの異物を鼻水ごと吹き飛ばし、気道に入るのを抑止する防御メカニズムとのこと。

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一方、くしゃみは「普段とは異なる刺激」によって生じる場合もあり、その一種が胡椒や唐辛子です。ゾルグ氏によると、胡椒に含まれるピペリンや唐辛子に含まれるカプサイシンなどの化学物質が鼻の粘膜の神経終末を刺激すると、くしゃみが発生することがあるとのこと。

また、精神的な要因によって発生する「心因性のくしゃみ」もあり、その全貌は解明されていないものの「強い感情が脳を刺激すると鼻に生化学的シグナルが送られてくしゃみが出る」という説が主流だそうです。このほかにも、光が原因でくしゃみが出る「光くしゃみ反射」という現象は、日本人では約25％の人に現れるとされています。

「なぜくしゃみをするときに目を閉じてしまうのか？」という疑問について、ゾルグ氏は「『目を開けたままくしゃみをすると目玉が飛び出てしまう』という俗説がありますが、実際には目を開けたままくしゃみを行うことは可能です」と解説。くしゃみをする際に目を閉じてしまうのは自律神経の反射によるもので、この反射に逆らって意図的に目を開けることもできるそうですが、「くしゃみをする際に目が閉じるのは、目に雑菌が入る可能性を減らすため」という説があるため、「自分の口から吐き出した雑菌を目に入れたくないのであれば、目を閉じたほうが良いかもしれません」とのこと。

「くしゃみをすると、なぜ音が出るのか？」という疑問については、「口と鼻から放出される空気が音を生み出しています」とゾルグ氏。一般的には空気をたくさん吸えば吸うほどくしゃみの音は大きくなるため、意識的にコントロールすることでくしゃみの音を調節することも可能で、くしゃみを我慢したり飲み込んだりしている人も実際にいますが、怪我をするリスクがあるため専門家によると「非推奨」とのこと。

なお、2018年にはくしゃみを我慢した結果、喉が破裂してしまった男性の症例が報告されています。

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by quinn norton