アメリカ・バーモント州発祥のアイスクリーム「ベン&ジェリーズ」は7月19日、2022年末を持ってイスラエルによるパレスチナ占領地での製造販売を終了すると発表した。
対象となるのは、イスラエルが占領するパレスチナ自治区のヨルダン川西岸と東エルサレムだ。
Ben & Jerry’s will end sales of our ice cream in the Occupied Palestinian Territory. Read our full statement: https://t.co/2mGWYGN4GApic.twitter.com/kFeu7aXOf3
— Ben & Jerry’s (@benandjerrys) July 19, 2021
製造販売終了の理由は「占領が自分たちの価値観と相入れない」からだという。声明で、次のように説明した。
「イスラエルによるパレスチナ占領地でのアイスクリーム販売は、ベン&ジェリーズの価値観に反します。また、ファンや信頼しているパートナーたちからも懸念が寄せられています」
「私たちは、ベン&ジェリーズのアイスクリームをイスラエルで製造販売しているライセンシー(製造販売を認可された人)と、長年パートナーシップ関係を築いてきました。しかし契約について協議を重ねた結果、来年末にライセンス契約が終了した後は、契約を更新しないとライセンシーに伝えました」
イスラエルによる占領地での販売は2022年末で終了する一方で、それ以外のイスラエル国内では、販売を続ける予定だという。
ヨルダン川西岸と東エルサレムは1967年、第三次中東戦争で勝利したイスラエルによって占領された。
イスラエルはその後、同地区へのユダヤ人の入植を進め、現在ヨルダン川西岸には約50万人、東エルサレムは約20万人が住んでいると言われている。しかし国際社会から、入植は国際法違反であり平和を妨げる行為だと批判されている。
ベン&ジェリーズが、イスラエルで事業展開を始めたのは1987年。しかしイスラエルの占領に反対するバーモント州の団体「バーモンターズ・フォー・ジャスティス・イン・パレスチナ(VTJP)」は、イスラエルによる占領地での販売を止めるよう、同ブランドに求めてきた。
VTJPの活動が、今回のベン&ジェリーズの決定に影響を及ぼしたかどうかは明らかになっていない。そして、VTJPは今回のベン&ジェリーズの決断に満足していない。
同団体は19日に発表した声明で「ベン&ジェリーズの決断は不十分」とし、占領地だけではなくイスラエル全域でのアイスクリームの製造や販売、マーケティングなどを止めるよう求めた。
ベン&ジェリーズの決定を、イスラエルのナフタリ・ベネット首相は「反イスラエル」と批判した。
首相はコメントで「ベン&ジェリーズは自らを反イスラエルのアイスクリームにした」「モラルに反する決定であり、商業的にも誤りだったということがわかるだろう」と、述べている。
またAP通信によると、イスラエル外務省も「過激な反イスラエルグループの強い圧力に屈した」ものだと反発し、決定を覆すように求めている。
一方、パレスチナ人のイスラエル政治家であるアイーダ・トウマ=スレイマン氏は「決定は正しくモラルがある。占領されたパレスチナ人領土は、イスラエルの一部ではありません。販売中止は占領を終わらせるプレッシャーとなるでしょう。ベン&ジェリーズの動きに、他が続くことを願う」とコメントしている。
賛否両論のある政治問題で企業が発信するのは珍しいが、ベン&ジェリーズはLGBTQの人たちの人権問題や、大統領選挙、気候変動問題など、様々な社会問題で積極的にアクションすることで知られる。
一方、同ブランドの親会社であるユニリーバは、「今回の決定はベン&ジェリーズ独自の判断であり、ユニリーバはグローバル企業として生活必需品を消費者に届けることを優先している」というコメントを発表。イスラエルでの販売を続けるとしている。
Source: ハフィントンポスト
アイス会社も政治に参加する。ベン&ジェリーズ、イスラエルによるパレスチナ占領地での製造販売終了を発表
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