幸せに働くためには、必ずしも「理想の仕事」である必要はない? その理由を紹介します。
仕事と個人のアイデンティティがますます強く結びつくにつれ、ある概念の人気が高まり、広まっています。
それは、仕事は目的(家賃や光熱費、食費、生活費を稼ぐ)のための手段ではなく、週40時間以上をかけて自分の情熱や夢を実現するための手段だという考え方です。
これは、心理学者が「エンメッシュメント(網にかける)」と呼んでいる現象で、自己と仕事と個人のアイデンティティの境界線がますます曖昧になってきています。
この概念は、怪しげな求人情報や求人の記事、人にやる気を出させる演説家の発言などによく見られる、「理想の仕事」という考え方によって強化されました。
何をするかに関わらず、どうすれば仕事が仕事ではないような気になるのでしょうか? この考え方に落とし穴があるのは明らかですが、働く人たちに、何とかしてキャリアにある種の満足感を求めようとする強迫観念を残しています。
あなたが、不幸な社会人が天職を見つけるのを手伝うコンサルタントだとしたら、確かに理想の仕事というのは実在します。
このようなキャリアの専門家や仕事斡旋業の人たちは、「理想の仕事」という概念は、夢を持ち続けてもらうのに役に立つし、少なくともそうなれば儲かるので、この概念を広めているのです。
スターのような有名CEOを褒めたたえる野心的な社会では、多くのアメリカ人が理想の仕事に邁進するのも当然です。しかし結局のところ、それは必ずしも存在しないものを手に入れようとする無駄な努力です。
当然ながら、そのような高すぎる期待を持つと、現実を目の当たりにした時に愕然とすることがあります。
2018年、若いジャーナリストSophie Brown氏はBBCのインタビューで、「理想的な仕事」の状態は、彼女が初めて業界で大きな成功を収めるのに必要だったものや、長時間労働とは相容れなかったと語っています。
Brown氏は次のように言います。
私は仕事も、そこにいる人たちも嫌いでした。(中略)深夜、早朝、週末……私とパートナーはすれ違ってばかりで、何年も家族と過ごす時間はありませんでした。
私が必死になって働いていた「理想の仕事」は、実は私がまったく望んでいなかったものだと気づきました。
仕事から満足感や充足感を得ようとすることはできますし(おそらく得ようとした方がいいですし)、それは事実です。
しかし、その仕事と一体化したり、仕事から個人的な満足感を得たりすることに重きを置きすぎると、人生の意味を見失う危険性があります。
社会人としてのエチケット・ガイド『Works Well With Others』の著者Ross McCammon氏は、最終的に職場で心の拠り所となるものを見つけるのに大事なのは、仕事よりも自分個人や社会人としての成長にもっと意識を向けることだと語っています。
誰もが特定の分野や職種を目指した方がいいと思いますが、特定の仕事を目指すのは間違っていると思います。
またMcCammon氏は、人々がもっと現実的に職場とは何かを理解することを求め、米Lifehackerにこのように語っています。
仕事というのは、あなたが働いているものであり、あなたと一緒に働いている人たちであり、あなたが働いている場所の文化でもあります。
あなたが追求したり、コントロールできるものもありますが、ただ自然と起こる物事が多いです。
夢や理想は、その道のりが楽しめるようになったり、やる気を出してくれる手段になったりすることもあります。
一方で夢を実現することや完璧を目指すことがキャリアの原動力になると、「どこにもたどり着きません」とMcCammon氏は言います。
それよりも、キャリアの中で必ず経験する、個人や社会人としての成長に意識を向け、その達成感を味わいましょう。
夢という主観的な概念を現実に反映するには、どの人のキャリアにも「あまりにも多くの変数があります」。しかし、McCammon氏はこう言っています。
それこそが仕事を面白く、楽しく、満足感あるものにしているのです。
予想もしなかったあらゆるチャンスを利用するために、今までどのように自分のビジョンを適応させてきたか、振り返って考えてみましょう。
さらに、どんな仕事も、その単調さと仕事であるがゆえの困難に悩まされると理解することが一番大事です。
好きなことをして生活をしているのに、その情熱が今やメールやZoom会議、日々の締め切りに負われる仕事になっていると気づいた時に、特に失望させられます。
情熱に任せて仕事をしてはいけないと言っているのではありません。
しかし、フルタイムの仕事と、満足感という人としての基本的欲求を切り離す方法を学ぶことは、キャリアを積み重ねる上で役に立ちます。あなたは人間であって、仕事ではないのです。
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Source: Harvard Business Review, TONY ROBBINS, MIDAMERICA NAZARENE UNIVERSITY, BBC
Source: ライフハッカー
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