東京オリンピックの開会式で作曲を担当しているミュージシャンの小山田圭吾さんが、過去に雑誌のインタビューで学生時代にいじめを行っていたことを告白していた問題。
小山田さんは7月16日にツイッターに謝罪文を投稿し、大会組織委も報道各社にコメントを出した。小山田さんの発言について、「不適切だ」とする一方、「本人は発言について反省しており、現在は高い倫理観をもって創作活動に献身するクリエーターの一人であると考えている。1週間後の開会式に向けて、引き続き最後まで準備に尽力していただきたいと考えている」とし、辞任や解任はしない意向を示した。
この一連の出来事は海外の大手メディアでも報じられている。
「大会の最新の悩みの種」森喜朗前会長の女性差別発言にも言及
アメリカのAP通信は、「東京オリンピックの日本の作曲家が虐待をお詫び」という見出しで、SNSで批判が起こり、小山田さんに対し辞任を求める声があがっていると報じた。
「このスキャンダルは、すでにコロナウイルスのパンデミックに取り組み、開幕まであと5日しかない大会の最新の悩みの種」だとし、日本では健康上のリスクが懸念され、五輪の中止・延期を望む人も多くいると指摘。
他にも、2月には東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会前会長の森喜朗氏が女性差別発言で、3月には開閉会式のクリエイティブディレクターを務める予定だった佐々木宏さんが、タレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱する企画を提案していたことで、それぞれ辞任した問題にも言及した。
「問題にもかかわらず、東京五輪の主催者は歓迎」
イギリスの新聞デイリー・テレグラフのオンライン版は、記事の冒頭で「障害のある同級生を虐待し、他の生徒の前で性的な行為を強要したと語ったインタビューが問題になっているにもかかわらず、東京五輪の主催者は、日本の著名な音楽家が開会式に関わることを歓迎している」と報じた。
小山田さんについては「日本で最も成功したシンガーソングライターの一人」だと説明。大会組織委員会の武藤敏郎事務総長が、小山田さんの過去のインタビューについては「知らなかった」とし、五輪の開会式に「引き続き貢献してもらいたい」との考えを示したことについても伝えた。見出しには、「障害のある同級生を虐待し、性的な行為を強要した日本の作曲家は、開会式に関わり続ける」とつづられた。
その他にもイギリスの大手新聞ガーディアンなども報じている。
これまでの経緯は?
小山田さんは、1990年代に発行された『ロッキング・オン・ジャパン』(ロッキング・オン)と『クイック・ジャパン』(太田出版)の2誌で、小中学生時代にクラスメイトに対するいじめに参加していたと告白。
14日に発表された東京オリンピックの開会式の演出メンバーに、小山田さんが作曲家として名を連ねていたことから、これらのインタビューの内容が問題視され、批判が相次いでいた。
当時の『ロッキング・オン・ジャパン』の編集長であり、小山田さんのインタビューを務めた山崎洋一郎さんは7月18日に、ロッキング・オンが運営するサイト「rockinon.com」で謝罪文を発表。
「インタビュアーとしての姿勢、それを掲載した編集長としての判断、その全ては、いじめという問題に対しての倫理観や真摯さに欠ける間違った行為」であったと認め、「27年前の記事ですが、それはいつまでも読まれ続けるものであり、掲載責任者としての責任は、これからも問われ続け、それを引き受け続けなければならないものと考えています」とし、謝罪した。
Source: ハフィントンポスト
小山田圭吾さんの「いじめ告白」、海外メディアも報じる。開会式続投を問題視する声も紹介