西村康稔・経済再生担当大臣が7月8日の記者会見で、緊急事態宣言が出された地域で、休業要請や命令に応じない飲食店の情報を金融機関へ提供すると述べたことに反発の声が広まっている。
菅義偉首相は9日、「そうした趣旨の発言は絶対しないと思っている」と話したが、実際はどうだったか。
西村大臣は8日夜、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂・会長とともに記者会見を開き、休業要請などに応じない飲食店の情報を金融機関へ提供する方針を明らかにした。
これに対しSNSでは、「本当にひどい」「正気とは思えない」など批判的な声が上がった。自民党内からも平将明・衆議院議員が「働きかけは行政がやるべきで、金融機関を使ってプレッシャーをかけることは止めるべきだ」と苦言を呈したほか、野党からは国民民主党の玉木雄一郎・代表も「基本的対処方針にも書いていない法的根拠を欠いた措置だ」と指摘した。
働きかけは行政がやるべきで、金融機関を使ってプレッシャーをかけることは止めるべきだ。資金繰りの苦労をしたことのない官僚ばかりが集まって施策を決めているのではないか。党にも働きかける。
酒規制 金融機関にも協力求める#Yahooニュース
https://t.co/BQCMhMaD5H— 平将明 (@TAIRAMASAAKI) July 9, 2021
飲食店に対して金融機関から締めつけさせるなんて悪手すぎる。基本的対処方針にも書いていない法的根拠を欠いた措置だ。そもそも金融機関の優越的地位を行政が悪用するなんて筋が悪すぎる。安心して休める万全の補償を行うことが先だろう。
西村大臣「金融機関も働きかけを」 https://t.co/CK6X4mHSx6
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) July 8, 2021
ロイター通信によると菅首相は9日官邸で、優先的地位の濫用にあたるのではという質問に対し、どういう発言か承知していないとした上で、「そうした趣旨の発言は絶対しないと思っている」と語った。
では、西村大臣は実際にどのように発言していたのか。
記者会見ではまず、営業自粛要請に応じた飲食店への協力金の先渡しなど、支給を迅速化する方針を説明。そのあと「他方、協力に応じて頂けないお店に対してですね、見回り、働きかけを強化しようと思っていまして」として、人員増加にかかる費用を国が負担するとした。
スライドには「飲食店対策(さらなる強化)について」という項目が表示され、そこには「金融機関に対して、融資先の飲食店への特措法に基づく要請・命令の遵守等の働きかけを依頼」とある。西村大臣はこの一文を指し棒で示しながら「応じて頂けないお店について、こうした情報をですね、金融機関に対して、しっかりと情報を共有しながら、遵守の働きかけを行って頂く」と説明した。
さらにその後の質疑応答で「取引先である金融機関に通知するということが対策としてありますが、金融機関に知らせる狙いは何なのか、言い換えれば、金融機関にどういうアクションを起こして欲しいのか」と質問されると、西村大臣は「応じて頂けない店舗の情報を関係省庁、金融機関とも共有してですね、金融機関からも応じて頂けるように働きかけを行なっていただくことで取り組みを進めたい。関係省庁ともすり合わせを行なっています」と回答した。
「それは金融機関が、その店に対する融資の引き揚げや貸付、そういった資金面での圧力をかけて欲しいという風にお考えなのでしょうか」と追加で質問があると、「様々、日常的にやり取りを行っていますので、法律に基づく要請あるいは命令でございますから、しっかり遵守していただけるよう金融機関からも働きかけを行なって頂きたい」と話した。
共同通信によると、西村大臣は9日の会見で、真面目に取り組んでいる事業者との「不公平感の解消」のためだと説明。融資制限の意図はないと釈明した。
Source: ハフィントンポスト
「休業要請、応じない店の情報を金融機関へ」…菅首相「西村大臣はそうした趣旨の発言は絶対しない」→実際は?