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どん底からの起死回生。「働きがいのある会社」4年連続トップのリーダーが語る、「働きがい」とは何か

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三村真宗・コンカー社長

「いい会社」とは、どんな会社だろうか?

「潰れない会社」「成長できる会社」「働きやすい会社」……。答えは人それぞれかもしれないが、ある経営者の回答はこうだ。

「社員の幸福と業績の成長。どちらかを犠牲にすることなく、両立できている会社」ーー。

 

サイボウズを抑えて「働きがいのある会社」ランキング(Great Place to Work Institute)で4年連続トップを独走中の、コンカー株式会社の三村真宗社長。

業績も雰囲気も最悪だったところから、10年足らずで採用率2.8%の超人気企業へと成長したコンカーは、どん底からどう立ち上がったのか。

 

 急がば回れで「働きがい」を経営戦略に

「アメリカ以外では業績No1になる。そして、国内のIT業界で一番『働きがい』のある会社になる」

2013年1月、社員全員を集めた「オフサイト合宿」で三村さんがこう宣言すると、十数名の社員たちはポカンとした表情だったという。

三村さんがクラウド型経費管理サービスを運営するコンカーの社長に就任したのは2011年10月。

「外資系IT企業の社長って、結果が出なければすぐにクビになりそうですよね。いつも首のあたりがヒヤヒヤしていて、早く結果を出さなければと焦っていました」

当時、社員は13人。即戦力重視で優秀な人を採用しても、それぞれが向いている方向や大事にしている価値観はバラバラだった。

そんな状況でトップの口から突然飛び出した「働きがい」という言葉に、冷ややかな表情を浮かべるメンバーもいた。

コンカー入口には、「働きがいのある会社」にまつわるトロフィーがずらりと並ぶ

だが、三村さんには確信があった。

「『働きがい』は優秀な外の人材に対して吸引力を持つはずだ。遠回りでもいい、一度原点に戻る」

どんなに優秀でも、同じ方向を見て走ることができなければ、チームとして能力を発揮することは難しい。話し合いの末、ギャップを埋めきれなかった4人のメンバーとは袂を分かつことに。

一方、“合宿”で高すぎる目標を掲げて話し合ううち、半信半疑だった社員たちは次第に本気で企業経営について一緒に考えるようになった。

「文化」や「コミュニケーション」について「喫緊ではないけれど課題」だと考えている社員が多いこともわかり、社内文化の醸成を担う「文化部」はボトムアップで立ち上がった。

 

縦・横・斜めのコミュニケーション

コンカーが大事にしているのは、「信念の共有」と「高め合う文化」だ。

部内外のランチ、三村さんと新人とのランチなど、縦・横・斜めのつながりを意識した積極的な交流を推奨し、会社が費用を負担する。上司から部下へのフィードバックはもちろん、部下から上司にフィードバックする機会も定期的に設けるなど、コミュニケーションには力を惜しまない。

三村社長

社員みんなで築いてきた「文化」が最大限に力を発揮したのが、コロナ禍だった。

「最初の緊急事態宣言が出た翌日に、全社ミーティングをしました。そこで話したのは『Business as usual(いつも通りに働こう)』ということ。特に、社歴の浅い人たちを守ろうと話しました」

“非日常”が日常となる中で、働き方にも大きな変化があった。多くの社員がリモートワークに切り替わり、会社の拠点によらない採用も始めた。同社の調査によると、2021年3月の社員の平均出社日数はたった1.7日。

「昔はオフィスがカルチャーの象徴だとは思っていたが、今はそう感じない」と三村さんは語る。

 

「働きがい」とは何か?

そもそも「働きがい」とは何なのだろうか? 三村さんは「働きがい」には3つの要素があると言う。

1、夢や志、対人の一体感
2、視座の高さと裁量の大きさ
3、成長の実感

中でも大事になのは「成長の実感」だ。

「人は自分の成長を実感できている時ほどワクワク働ける」という三村さんは、令和に目指すべきなのは、「働きやすく、やりがいもある職場」だと指摘する。

「働きやすさ」と「働きがい」の4象限

働き方改革で「働きやすさ」に目を向ける企業は増えているが、「働きやすさ」を重視するあまり、社員が成長実感ややりがいを持って働くことができなくなっているというのだ。

「中途採用の面接すると、『今の会社は働きやすいけれどやりがいがない』と、成長を求めている人が多い印象です。ただ、自分自身としては、この結果をポジティブに受け止めているんです」

 

「働きがいも経済成長も」

社長就任から10年の節目を迎え、次はどこへ向かうのか?

「まだまだ改善の余地はあるし、今もすごくワクワクしてやっています」と、自信溢れる笑顔を浮かべた三村さん。

「働きがい Next Stage」と題し、短期ワーケーション、長期ワーケーション、遠隔地への移住など、就業環境を自由に選ぶことができるWork From Anywhere制度も導入した。

企業文化の柱の一つである「教え合う文化」の一環として、コンカーの経験やコミュニケーションノウハウを社外に展開する取り組みも始めた。

「シルバーバレット(銀の弾丸)はないんですよ。いくら大切に育てても落ち込む社員や人間関係の悩みは出てきます。盆栽じゃないんですけど、大きな枝を切るのではなく少しずつ整える。大きなビジョンは描くけれど、現実は地味な取り組みの積み重ね。働きがいに取り組むことが事業の成長につながると信じて、リーダーがコミットすることが大切です」

SDGsの目標にもうたわれる「働きがいも経済成長も」に2013年から取り組んできたコンカーは、新時代の働き方の羅針盤になるかもしれない。

(取材・文:中村かさね /ハフポスト日本版)

三村社長

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Source: ハフィントンポスト
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