万年筆を買ってみたら、「字が汚い」コンプレックスから解き放たれた話【漫画】

高校生の頃、先生は言いにくそうに、こう告げた。

「クラスいち字汚いよ」

字にコンプレックスを抱いていた私が、万年筆の「沼」にはまったことで自分の字に愛着を持てるようになったーー。

ある漫画家の実体験を描いた漫画に、反響が広がっている。

作者・いくたはなさん(@suitondiary)の万年筆との出合いは、2年ほど前。大型雑貨店のボールペン売り場を回っていた時だった。

「万年筆」で連想する使い手といえば、文豪や達筆な人。商品を手にした時、知り合いが周りにいないか思わずキョロキョロしてしまったという。

なぜなら <私は 字が 汚い> からだ。

いくたさんは高校生の頃に先生から言われたひと言が、今も記憶に残っているという。

「お前の字さ、ぶっちゃけるとな」「クラスいち字汚いよ」

「やっぱり自分の字は相当汚いんだ」という現実を突きつけられた。

<人に面と向かって『字が汚い』と言われるのはけっこうショックで 文章を書くのは好きだけど 自分の字は嫌いになった>

いくたさんは「先生もかなり言いにくそうだったので、言わせてしまってごめんなさい、という気持ちでした」と当時を振り返る。

<なので筆記用具は書ければなんでもよくて、見た目がかわいければヨシとしていた>

“字が上手くない”自分が万年筆を買うことを、「とてつもなく恥ずかしく感じていた」という、いくたさん。

だが、店で手に取った万年筆の箱にあった『きっと書くのが楽しくなる』との言葉に引きつけられた。

<この言葉で 私は沼へ近寄っていった>

思いきって買った万年筆。

インクのカートリッジを本体に付けた時の、「カチッ」と鳴る瞬間。

カリ、カリ、カリ…。

実際に書いてみると、ゾクゾクと興奮した。

<字を書くっていうか生まれてる….っ!? 字が生きてる気すらする…!!>

「万年筆を初めて使うというのもあって力加減がわからず、久しぶりに文字をじっくりゆっくり書いたんです。文字のとめ・はね・はらいが思い通りに書けて、すごく新鮮に感じました」(いくたさん)

そこから、いくたさんはみるみるうちに万年筆のとりこになった。

<知らなかったんです 万年筆にはメーカーがいくつもあり、期間限定の万年筆や各地の文具店オリジナルのものもあるよ!>

<知ってましたか?世の中は万年筆用のインクがわけわかんないくらいあるんですよ…!> 

相手に似合いそうな万年筆をプレゼントしたり、その人をイメージして調合したインクを贈ったり。周りに「布教」することも、すごく楽しかった。

<選んだ万年筆の軸、字幅、使ったインクの雰囲気で 自分の字のコンプレックスが… 化けますよ>

万年筆を使うようになり、いくたさんは自身の字に対する受け止めが変わっていったという。

「字を適当に書いてしまいがちだったのが、ゆっくり筆を運ぶことができるようになり、書くことへのコンプレックスはほとんどなくなりました。文字に関しては上手ではないけれど、愛着が持てるようになってきました

いくたさんのツイートには3万件を超える「いいね」が付くなど、大きな反響を呼んでいる。

「字が汚いからもう全部同意しかなかった。私も同じ経験をしていて、インク沼にドボンヌしている」

「これめっちゃわかる…何故か自己肯定感上がるし、字を書きたくなるんだよなあ…」

「わかりみに溢れる」…。

自分の字を汚いと感じている人や、万年筆と出合って字を書くことへの考えが変わった人などから、共感する声が相次いでいる。

さらに、万年筆を売る側を経験した人からは、「お客さんに書いてもらって『ナニコレー私の字、こんなに上手だったっけ』って顔になる瞬間を見るのが大好きだった」といったコメントも。

「万年筆デビューをされた方が、購入した物を見せてくださることもあり、とてもうれしいです」といくたさん。

かつてのいくたさんのように、自分の書く字を好きになれない人には、こうエールを送った。

「長年付き合うものの一つとして、文字があると思っています。デジタル化が進んでも、何かの折には字を書く状況は出てきます。なので、自分の字の良いところを少しでも探せると、文字を書くことがもう少し楽しくなるのではないかなと思います

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Source: ハフィントンポスト
万年筆を買ってみたら、「字が汚い」コンプレックスから解き放たれた話【漫画】