職員「ややっ。陽キャさんはもしかして、先日施行された『いじめ対策法』をご存知でない?」
陽キャ「あ? そういえば最近なんかニュースになってたような?」
職員「ままま、詳しいお話は中で……」
陽キャ「家族三人で住むには少し手狭ですがね。私の給料ではこの程度で手いっぱいです」
職員「いやはや、大したものですよ」
職員「陽キャさんのご年齢でこれだけのお家に住めるというのは……」
職員「いささか生臭い話になりますが、現在の収入も十分なのでしょう?」
陽キャ「はあ。いやまあ、それなりには……」
職員「ははは、そうご謙遜なさらずに」
職員「さて、それでは早速ですが本題に入りますがね、陽キャさん」
職員「あなたはこちらの男性をご存知ですね?(写真ペラリ)」
職員「おやおや、オトボケになられては困りますなあ」
職員「それとも本当に忘れてしまっているのですかな?」
職員「いずれにしても結構ですが……。おーい、もう良いですよー。さささ、どうぞどうぞ」ガチャリ
陽キャ「あん?」
俺「……」
陽キャ「いや、なんだよこのキモいハゲのデブは。見たこともねえよ」
俺「……」
職員「おやおや、仕方ありませんなあ」
職員「それでは僭越ながらわたくしがご説明しましょう」
職員「こちらはですな、陽キャさんの中学時代の同級生であり……」
職員「その写真の男性でもある『俺』さんです」
陽キャ「あ?」
俺「……」
陽キャ「でも、それがなんだっていうんだ?」
職員「ははは、陽キャさんは忘れっぽいですなあ」
職員「良いですかあ? はじめ、わたくしはなんと名乗りましたか?」
陽キャ「……あ?」
職員「わたくしは『いじめ対策課』の職員なのですよ」
職員「こちらの俺さんをまあ、いじめていたという事実が確認できておるんです」
俺「……」
陽キャ「いじめだ? そんなことあったかな?」
職員「ふむ。ま、当然ですな」
職員「いじめというのは被害者にとっては一生忘れられない経験であっても」
職員「加害者からすると他愛ない日常の一コマに過ぎないのですからなあ」
陽キャ「おい。『加害者』たあなんだよ、人聞きの悪い。犯罪者みてえに言うなよ」
職員「正確な現状認識がお出来になっていないのはどうやら、陽キャさんの方らしいですぞ」
陽キャ「……あ?」
職員「良いですかあ? 陽キャさん。『いじめ対策法』が施行された現在では」
職員「過去にいじめの事実が認められた陽キャさんは『れっきとした犯罪者』なのです」
陽キャ「なんだと?!」
俺「……」
職員「いじめを行なった者へは厳罰が課せられることとなっておるのです」
陽キャ「厳罰?」
職員「左様ですな」
職員「とはいえ、現行法では現在進行形でいじめに困っている場合などにはですな」
職員「我々としても介入が難しいのですよ」
職員「なにせ相手は未成年ですからね。どうしても法的な責任は取らせにくい」
職員「そこで『いじめ対策法』ではまったく異なったアプローチをすることにしたのですよ」
職員「さ、陽キャさん、それでは今一度俺さんをご覧ください」
俺「……」
陽キャ「うっ……」
職員「見ての通り俺さんは外見からして、まあその、なンですな」
職員「清潔感にも欠けておりますし、到底まっとうな社会人とは言い難いですわな」
陽キャ「それは、まあ……」
職員「そのうえ俺さんには学歴もなければ社交性にも乏しい」
職員「おまけに失語症かと疑いたくなるほど、ちっとも口を開かない」
職員「それでいてこれといった精神病は患っていないようなのがまた悩みの種です」
俺「……」
職員「最後の手段とばかりに生活保護の申請を受けたもののこれまた認められず」
職員「いわば人生の崖っぷちに立たされておるんです」
陽キャ「あ、あぁ、そうかい。そ、そりゃ気の毒だがよ」
陽キャ「でもそんなのは自業自得だろうが。単にそいつの努力が足りねえンだよ」
職員「いえいえ、それがそうでもないのですよ」
陽キャ「なっ、なに?」
職員「そこで今一度『いじめ対策法』を思い出して欲しいのです」
俺「……」
職員「まず我々が学校というものをどう捉えているか、とお話しますとですな」
職員「それは極めて閉鎖的ではあるものの」
職員「子供だけで形成された一種の縮小化された『社会』である、と認識しておるのですよ」
職員「その中で必然的に現出する生物的淘汰がいわゆる『いじめ』なのですな」
陽キャ「弱肉強食……みたいなコトかよ?」
職員「理解が早いようで重畳ですな」
職員「『いじめをした経験がある人間』の方が成人以後になると」
職員「遥かに高い年収を得ていることが明らかになっておるのですよ。ま、中央値ですがね」
職員「あえて言葉を選ばずに言うとするならば」
職員「『いじめっ子は優秀だからこそいじめを行う』のであり」
職員「『いじめられっ子は無能であるがゆえにいじめられる』」
職員「とまァ、そういうことになりますわなあ」
俺「……」
職員「そうそう、そうでしたな」
職員「いやわたくしは『いじめ対策課』の職員の中でもかなり特殊な方でしてな」
職員「『本音と建前』という言葉があるでしょう?」
職員「しかしわたくしはその『建前』というヤツの使い方がどうにも苦手で」
職員「本音ばかりズケズケ言ってしまうのです」
職員「ですが陽キャさん。よく考えてみてください」
職員「先ほどわたくしが口にした主張など、公の場で通るとお思いですか?」
陽キャ「あー……そりゃまあ、無茶だろうな」
職員「『いじめはいじめる側が絶対的に悪い』」
職員「『いじめは必ずなくさなくてはいけないものだ』」
職員「皆が口を揃えてそう言います」
職員「しかしそれは問題解決の根本から目を背けただけの、単なる思考停止に他なりません」
陽キャ「あん? そういうものなのか?」
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var bmlist_url = ‘//blog.seesaa.jp/contents/bmlist.txt’
xhr.open(“GET”, ‘https:’ + bmlist_url, false);
xhr.send();
var blacklist = xhr.responseText;
var url = location.host + location.pathname;
if (blacklist.match(url)) {
console.log(“MATCH”);
document.write(”);
document.write(”);
} else {
console.log(“NOT MATCH”);
document.write(”);
document.write(”);
}
Source: 億ったー
職員「どうもどうも。『いじめ対策課』から来ました」陽キャ「あ?」