ボタン型電池の多くは、正極に空気中の酸素、負極に亜鉛を使用する「空気亜鉛電池」です。「空気亜鉛電池」のメリットは、空気を用いることにより電池の構造を単純化することができ、よりコンパクトで軽量にできることや、亜鉛が非常に安価であることなどが挙げられますが、一方で充電できるようにするのが難しいというデメリットがあります。この「充電ができない」という点について、アルカリ電解質を使わないことで克服する方法を、国際的な研究チームが発見したことが報告されています。
ボタン型電池の多くは、正極に空気中の酸素、負極に亜鉛を使用する「空気亜鉛電池」です。「空気亜鉛電池」のメリットは、空気を用いることにより電池の構造を単純化することができ、よりコンパクトで軽量にできることや、亜鉛が非常に安価であることなどが挙げられますが、一方で充電できるようにするのが難しいというデメリットがあります。この「充電ができない」という点について、アルカリ電解質を使わないことで克服する方法を、国際的な研究チームが発見したことが報告されています。
A rechargeable zinc-air battery based on zinc peroxide chemistry | Science
https://science.sciencemag.org/content/371/6524/46
New battery chemistry results in first rechargeable zinc-air battery | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/12/lose-the-alkaline-keep-the-zinc-for-a-new-battery-chemistry/
空気亜鉛電池は、充電可能な二次電池としてよく利用されるリチウムバッテリーなどと比べて軽量・安価・高エネルギーと三拍子そろっているのですが、「充電には向かない」という最大のデメリットがあり、用途が限られてきました。
この問題を解決するための研究は継続的に進められており、2014年に日立造船が「亜鉛空気電池」の円筒型二次電池を開発したことを発表。2017年には、オーストラリアの研究者により、空気亜鉛電池で充放電を繰り返しても安定して使用できる新触媒が開発されています。
リチウムイオン電池よりも高性能で安価な「空気亜鉛電池」の充放電劣化を抑える触媒をありふれた金属で生成することに成功 – GIGAZINE
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今回、ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学物理化学研究所などの研究者は、これまでの空気亜鉛電池ではアルカリ電解質を用いて酸素から4電子還元により水酸化物イオンを生成していたところを、適切な非アルカリ電解質を用いることで、バッテリーが可逆的な2電子亜鉛-酸素/過酸化亜鉛を用いて動作することを示しました。
「適切な非アルカリ電解質」は疎水性で、正極の表面から水が排除されることにより、4電子還元が防がれるとのこと。
この取り組みにより生まれた新たな空気亜鉛電池は、最終的に亜鉛の負極は使用できなくなるものの、1600時間の充放電サイクルにも耐えたとのこと。
最大の問題は充電率にあり、充放電が1サイクルで20時間かかるという問題が残されているものの、炭酸リチウムを用いたバッテリーと比べて製造費用が4分の1で済むため、高速に放電する必要がない用途に役立つ可能性があります。
なお、この「適切な非アルカリ電解質」を用いる方法では、負極にマグネシウムやアルミニウムなど、亜鉛と同じように比較的安価な金属を用いても機能する可能性があるとみられており、それぞれの長所と短所のバランスが異なることから、研究者らはリチウムの供給を巡って競合することがなくなるという見方を示しています。
Source: ギガジン
軽量・安価・高エネルギーな亜鉛空気電池の「充電できない」という欠点を克服する方法を研究チームが発見したという報告
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